ソニーの「ハッピー」な事業売却 揺れ動いた「電池」の着地点

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   ソニーは2016年7月28日、電池事業を電子部品大手の村田製作所に17年3月末をめどに売却すると発表した。ソニーはリチウムイオン電池を1991年に世界で初めて実用化するなど世界の電池ビジネスをリードしてきたが、韓国勢などとの価格競争が激しくなるなか採算が悪化し、売却を決断した。事業の選択と集中を進めて業績改善につなげる狙い。株式市場は好感し、ソニー株の上昇基調に弾みをつけている。

   ソニーの電池事業は、完全子会社のソニーエナジー・デバイス(福島県郡山市)を中心に、「民生用」と呼ばれるパソコン用などのリチウムイオン電池を主に生産している。2016年3月期の売上高は約1600億円。従業員は約8500人。11年3月期以降は赤字基調で、近年は生産設備などの減損処理を迫られてもいた。ソニーは郡山市や中国など国内外の生産5拠点を村田製作所に譲渡。売却額は非公表だが、数百億円とみられている。スマホ用携帯電源などソニーブランドの消費者向け販売事業以外は売却対象となる。

  • ソニーは17年3月末をめどに電池事業を村田製作所に売却する
    ソニーは17年3月末をめどに電池事業を村田製作所に売却する

2012年末ごろから浮上

   スマホ用のコンデンサーなどを主力とする村田製作所にとって、足元の世界的なスマホ需要の伸びの鈍化を受け、「次の一手」を打つ必要に迫られていた。村田製作所自身も電池の研究開発は手がけているが、伝統あるソニーの電池事業を引き継ぐことで、技術革新次第で電気自動車やハイブリッド車(HV)などに搭載する電池への本格的な進出も夢ではなくなる。近年、村田製作所は自動車用電子部品が事業として成功しつつあるだけに、その関連事業として車載用電池を育てることは将来の収益源に大いに期待できる。

   ところで、そもそもソニーの電池事業売却は4年近く前の2012年末ごろから浮上していた。ソニーは電池事業のパイオニアとはいえ、主に手がけるパソコンやスマートフォン向けの小型電池は韓国のサムスン、LG両グループが攻勢をかけるだけでなく、中国メーカーも生産拠点を設ける投資を始めていた。日本勢では三洋電機を買収したパナソニックが健闘していたものの(買収の狙いはまさに電池事業の吸収だった)、圧倒的な設備投資を続ける韓国勢に猛追を受けていた。「日本の技術にすぐには追いつけない」という楽観論もあったが、技術的な差(発火リスク低減など)もなくなりつつあった。

   当時のソニーは、経営悪化の責任をとる形で社長を退任したストリンガー氏の後を継ぎ、2012年4月に平井一夫現社長が就任したばかり。ソニーとして生き残りをかけた経営再建策をつくるのが喫緊の課題という時期だった。そうした中で不採算の電池事業が売却候補となるのはある程度、自然な流れだった。ただ、経済産業省内には日本が誇る電池技術が海外流出し、液晶パネルのように世界市場を韓国勢にまたたく間に席巻されてしまうと懸念する声が強まった。

「日の丸電池会社」も検討されたが

   そこで検討されたのが、ソニーや日産自動車、NECの電池事業を統合する「日の丸電池会社」の設立だ。2013年初めごろから、産業革新機構や各社の実務担当者が集まって協議を続け、2014年4月をめどに新会社を発足させるとのスケジュールで、細部を詰めていく作業が進められた。

   しかし、2013年末になってソニーは売却を撤回し、逆にソニーの中核事業に据えると言い出した。急速にスマホやタブレットが普及する中、ソニーの事業としてやっていけると考え方を変えたのだ。日産とNECはもともと提携関係にあり、2社だけなら今のままで良い。そのため「日の丸電池」は頓挫を余儀なくされた。

   ところが、その後も採算が改善しないなかでソニーは再度、改めて電池事業売却を決断した、というのが今回の村田製作所への譲渡契約にいたるいきさつだ。経産省内には「国外に出なかっただけ、まだましか」との声も聞かれる。

   もっとも、経産省が音頭をとる「日の丸会社」は無責任体質もあってか、ろくなことになっていない。半導体のエルピーダメモリは経営破綻したし、液晶パネルのジャパンディスプレイは今まさに資金繰りに苦しむ有りさまだ。ソニーの電池事業が村田製作所に売却されることは、結果的に関係者がハッピーになれる答えだったのかもしれない。

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