「人を活かしている」つもりの経営者 従業員の意識とはこんなにズレていた

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   毎年年明け早々、とある集まりで気のおけない経営者の皆さんと新年会をしております。皆さん、いかにしてより良い会社を作っていこうかと一生懸命な経営者の方々なのですが、私は経営者兼コンサルタントの立場で、いつもちょっとした話のネタを持って参加しています。

   今年(2014年)は、昨秋に報じられた「人を活かす会社」についての新聞の調査記事に関連した話を振ってみました。私の質問は、「人を活かす会社ってどんな会社でしょう。社長方が心がけているか、手がけていきたい『人を生かす工夫』があったら教えてください」というものです。

何より「人材を大切にすること」

休暇はとりやすいですか?
休暇はとりやすいですか?

   飲食チェーンA社長

「人を活かす会社は、皆が前向きに働いている活気ある会社かな。うちは外部研修とかに積極的に行かせたり視察旅行の機会を作ったりして、勉強のチャンスを作ってやるってことは大切かなと思っています。それと、抜擢人事とかも積極的に運用して、もっともっとやる気の出る職場づくりをしていかないといけないと思っています」

   自動車部品製造業B社長

「最終的には、人を大切にする会社が人を活かす会社と思います。とにかく適材適所を心がけること。そのために特に技術者一人ひとりの力量を僕自身がしっかり正確に把握できるように、日々現場に注意を払うようにしています。社長が現場を見なくなったら、人を活かすなんてことは到底できないですからね」

   機械商社C社長

「要は人を育てる意識を持つこと、すなわち人を組織の財産として大切に扱えるか否かが、人を活かす会社になれるか否かの分かれ道だと常々思っています。A社長のように研修も受けさせたいし、B社長のように適材適所をさらに徹底するために、今年はもっともっと現場まわりをしないといけないと思いました」

   なるほど皆さん、経営者として人材をいかに活かしていくべきか、しっかりとしたお考えをお持ちで頼もしい限りです。基本はお三方とも同じ、「人を活かす」ためには、何より「人材を大切にすること」、そして人材の能力を最大限に引き出せるよう、教育の機会を作ったり、配置に気を遣ったり、経営者なりの創意工夫が凝らされている様子でした。

従業員からみて徹底してホワイト企業であること

   では実際に働いている側の受け止め方どうなのでしょうか。当該記事ではそのあたりに焦点があてられていました。それによれば、従業員が考える「人を活かす会社」として重視する点について回答の多かった順に、1位が「休暇のとりやすさ」、2位「労働時間の適正さ」、以下「労災予防」「セクハラ・パワハラ対策」「雇用の維持」と続いています。3社長が考える「人を活かす」ための具体策とは随分と乖離があるように思われます。

   もちろん社長方が考える「人材を大切にすること」は大正解ですし、そのための具体策として人材個々の能力を最大限に引き出してあげるという考え方は決して悪いことではありません。でもこの具体策が優先されるのは、あくまで経営者サイドに立ったモノの見方であるのかもしれません。調査結果を見る限りにおいて、従業員サイドから見た場合、「人を活かす」に先立つ基本的な職場環境の問題がいくつもあるということのようなのです。

   結果を聞いたC社長があることに気がつきました。

   「なるほど、従業員が考える「人を活かす」具体策は、どれもそれが欠けてしまうことでブラック企業と揶揄されかねない要素だね」

   それを受けてB社長、

「要するに、従業員からみて徹底してホワイト企業であることが彼らのやる気を持ち上げ、結果として「人を活かす」ことになるということですね」

   最後にA社長がまとめてくれました。

「いま噂のブラック企業というやつは、実は「人を活かす」企業の対局にあるっていうことだな。職場環境に目配せして「人を活かす」経営を心がけていれば、ブラック企業呼ばわりされる心配もないわけだ」

   ブラック企業と「人を活かす」企業は実は表裏一体であるということを、出席者一同で再確認した新年でした。(大関暁夫)

大関暁夫(おおぜき・あけお)
スタジオ02代表。銀行支店長、上場ベンチャー企業役員などを歴任。企業コンサルティングと事業オーナー(複合ランドリービジネス、外食産業“青山カレー工房”“熊谷かれーぱん”)の二足の草鞋で多忙な日々を過ごす。近著に「できる人だけが知っている仕事のコツと法則51」(エレファントブックス)。 連載執筆にあたり経営者から若手に至るまで、仕事の悩みを募集中。趣味は70年代洋楽と中央競馬。ブログ「熊谷の社長日記」はBLOGOSにも掲載中。
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