「第8回カーボンリサイクル産学官国際会議2026」開催レポート

「第8回カーボンリサイクル産学官国際会議2026」開催レポートCO2を資源に変える技術と市場形成をめぐり、国内外の産学官リーダーが議論

2026年10月28日

報道関係者各位

【開催報告】 「第8回カーボンリサイクル産学官国際会議 2026」を開催 2025年ノーベル化学賞・北川 進 氏の特別講演をはじめ、 26か国・地域から現地約450名、オンライン約540名が参加(速報値) CO2を資源に変える技術と市場形成をめぐり、国内外の産学官リーダーが議論

 

経済産業省と国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(以下、NEDO)は、2026年10月9日(金)、ウェスティンホテル東京(東京都目黒区)およびオンラインにて「第8回カーボンリサイクル産学官国際会議 2026」を開催しましたので、その様子をご報告します。

 第8回となる本会議には、世界26カ国から約1,000名(現地約450名、オンライン約540名)が参加しました(10月9日時点の登録者数・速報値)。CO₂を燃料、化学品、鉱物・建材等の資源として再利用するカーボンリサイクルをテーマに、2025年ノーベル化学賞受賞者である京都大学高等研究院の北川 進 特別教授による特別ビデオ講演と、政策・国際動向、先進技術、産業連携・市場形成を扱う3つのセッションを実施しました。脱炭素化とエネルギー安全保障の両立に向け、技術の実証から事業化・社会実装への移行を加速する方策を議論しました。

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▲会場の様子(ウェスティンホテル東京)

 

■ 開会式

 開会にあたり、経済産業省 首席国際資源エネルギー戦略統括調整官 田尻貴裕氏が挨拶し、「本日の会議を通じて、世界各国の産学官のカーボンリサイクル関係者が、先進的な技術やビジネスモデルに関する知見や情報、アイデアを交換し、気づきを得ることで、カーボンリサイクルの社会実装を加速し、ひいては安全で持続可能なエネルギーの未来につながっていくことに大いに期待する」と述べました。続いて、スタンフォード大学 エネルギー理工学 教授 サリー・M・ベンソン氏、東アジア・アセアン経済研究センター(ERIA) アジアゼロエミッションセンター長・エネルギー政策局長 ヌキ・アギャ・ウタマ氏、国際エネルギー機関(IEA) 最高エネルギー技術責任者 ティムール・ギュル氏、一般社団法人カーボンリサイクルファンド 会長の満岡 次郎氏が登壇し、カーボンリサイクル実現に向けて、技術開発や実証にとどまらず、事業化や市場形成を含めた社会実装の取組を一層加速させる重要性を訴えました。

 

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▲開会挨拶を行う経済産業省 田尻貴裕氏(左)

 

■ セッションA カーボンリサイクルをめぐる国際情勢と日本の取組

 一般財団法人 日本エネルギー経済研究所 常務理事 環境ユニット担任の坂本 敏幸氏をモデレーターに、経済産業省 GXグループ GX推進企画室 室長 河野 孝史氏、環境省 地球環境局 地球温暖化対策事業室 室長 長谷川 敬洋氏、国土交通省 住宅局 参事官(建築企画担当)付 建築環境推進官 宮森 剛氏、インド科学技術庁(DST)・CCUS国立中核研究拠点 統括責任者/インド工科大学ボンベイ校 地球科学科 教授/ウルジャノバシー 創業者兼取締役/ASPIRE・インド工科大学ボンベイ校リサーチパーク 責任教授 ヴィクラム・ヴィシャール氏、スウェーデン・エネルギー庁 研究・イノベーション・事業開発部門局 副責任者 次席代表 クララ・ヘルステッド氏が登壇しました。

 セッションAでは、各国政府によるカーボンリサイクルの社会実装に向けた政策・制度、GX製品の需要創出や市場形成、技術開発・実証の推進、国際連携の強化について議論が行われ、社会実装の加速には、長期的な政策支援による投資の予見性向上、産学官の連携、各国の取組を通じた国際協力が重要であるとの認識が共有されました。

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▲セッションAの様子

 

■ 特別講演

2025年ノーベル化学賞受賞者である京都大学高等研究院の北川進特別教授が、「採掘文明から分離文明へ:分子空間の設計がもたらす第3の化学革命」と題してビデオ講演を行いました。

北川教授は、石油や石炭などの地下資源を採掘して利用する従来の社会には、資源の偏りや環境への負荷といった課題があると指摘しました。その上で、空気中のCO₂などを回収し、新たな資源として再利用する「分離文明」への転換を提唱しました。

また、その実現に向けて、特定の気体を効率よく取り出したり、蓄えたりできる新素材「多孔性金属錯体(MOF)」の可能性を紹介しました。さらに、日本が持つ優れた技術や人材を生かし、産学官が長期的な視点で協力して、国を挙げて取り組むことの重要性を訴えました。 

 

 

■ セッションB CO2バリューチェーン構築に寄与するカーボンリサイクル先進技術

 早稲田大学 創造理工学部 総合機械工学科 教授の中垣 隆雄氏をモデレーターに、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) サーキュラーエコノミー部 CR化学品・燃料チーム長 大石 嘉彦氏、住友化学株式会社 工業化技術研究所 所長 山本 盛夫氏、山梨大学 ゼロエミッションみらい研究センター 教授 里川 重夫氏、ダイオキシクル 共同創業者兼最高技術責任者 デヴィット・ウェイクリー氏、ぺブル 執行責任者 ニルス・エリク・ラスムス・マルンフェルト氏が登壇しました。

CO₂から合成メタンや半導体原料を製造する技術、工場排ガスからCO₂を分離・回収する高性能膜、CO₂電解による化学品製造、CO₂を固定する建材の開発など、多様な技術の進展が紹介されました。これらの技術は、実環境での運転検証や量産化、製品認証など、商用化を見据えた段階へと進展していることが示されました。一方、社会実装の実現には、個別技術の高度化だけでなく、CO₂の回収から製品の製造・利用までを一体的に捉えたバリューチェーンの構築が不可欠です。今後は、製造コストの低減、既存設備との統合、製品品質の確保、認証制度への対応などを進め、技術の商用化と他地域への展開を加速することが重要であるとの認識が共有されました。

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▲セッションBの様子

 

■ セッションC カーボンリサイクルの社会実装を加速する産業連携と市場形成

 株式会社NTTデータ経営研究所 社会・環境システム戦略コンサルティングユニット シニアマネージャー 桑畑 みなみ氏をモデレーターに、ACMEグループ 副社長 アルナヴァ・キショール・シンハ氏、鹿島建設株式会社 技術研究所 副所長 閑田 徹志氏、On イノベーション・テクノロジー部門 シニアディレクター ニルス・アルトロッゲ氏、ゼロ・ペトロリアム 創業者兼CEO/元F1技術責任者 パディ・アレン・ロウ氏が登壇しました。

本セッションでは、グリーンメタノール、コンクリート、消費者製品、合成燃料の4分野における先進的な取組が紹介されました。各分野の事例を通じて、長期的な需要の確保、既存設備や製造工程との連携、製品の性能・品質の向上、環境価値の適切な評価・訴求などの重要性が示されました。また、カーボンリサイクルの社会実装には、個別技術の開発だけでなく、原料調達から製造、物流、認証、販売・利用まで、バリューチェーン全体での産業連携と、持続可能な事業モデルの構築が不可欠であるとの認識が共有されました。さらに、実証を単なる技術検証ではなく、顧客の信頼獲得や経済性の確立につなげる「商用化への橋渡し」として位置付け、製品の性能・品質とともにCO₂削減効果などの環境価値を分かりやすく伝え、需要創出と市場形成を促進することの重要性が確認されました。

 

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▲セッションCの様子

 

■ 閉会式

 閉会にあたり、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) 理事長 斎藤 保氏が、本会議を通じて、カーボンリサイクルの社会実装に向けた技術開発の推進、環境価値の適切な評価、市場形成、産学官の連携および国際協力の重要性が確認されたと総括し、「本会議がお集まりの皆様にとって、カーボンリサイクルの社会実装の参考となり、一日も早いカーボンニュートラル社会の実現につながることを期待します」と述べて会議を締めくくりました。

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▲閉会挨拶を行うNEDO 斎藤 保

 

■ 同時開催プログラム

 ポスターセッション(12:00-19:30)には39の企業・大学・関連機関・団体が最新の研究成果を出展し、同会場にてネットワーキングレセプション(17:40-19:30)が開催され、活発な交流が行われました。

午前中に開催された会議に先立ち開催された学生交流会(10:00-11:45)では、ミッション・ゼロ・テクノロジーズ CEOのニコラス・フィリップ・チャドウィック氏と、ウルジャノバシー 共同創業者・取締役・最高経営責任者のヴィクラム・ヴィシャール氏による講演を通して、直接空気回収(DAC)やCCUS技術の社会実装に向けた課題、研究成果の事業化やキャリア形成などについて知見が共有されました。またさらに、学生によるグループディスカッションでは、「大学キャンパスにおけるカーボンリサイクル製品の認知・利用拡大」をテーマに議論し、各グループが検討成果を発表しました。

また、スタートアップイベント(14:30-15:00)では、学生交流会に登壇したチャドウィック氏とヴィシャール氏が登壇し、カーボンリサイクル技術の社会実装に向けた先進的な取組を紹介しました。両社の技術を通じて、CO₂の回収・利用技術の実用化と事業化に向けた可能性が示されました。

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▲ポスターセッションの様子

 

【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202610278804-O14-VCwc5crR】  【画像:https://kyodonewsprwire.jp/img/202610278804-O13-rB3U6M98】 

▲学生交流会の様子(左)、スタートアップイベントの様子(右)

 

■ 開催概要

・名称:第8回カーボンリサイクル産学官国際会議 2026

・日時:2026年10月9日(金)13:00-19:30

・会場:ウェスティンホテル東京(東京都目黒区三田1-4-1)およびオンライン

・主催:経済産業省、国立研究開発法人新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)

・参加人数:現地約450名、オンライン約540名

・参加国・地域:約26か国・地域

・ポスター出展:39の企業・大学・関連機関・団体

・共通言語:英語/日本語(同時通訳)

・公式ホームページ:https://carbon-recycling2026.nedo.go.jp/

 

■「カーボンリサイクル産学官国際会議」について

 経済産業省とNEDOは、カーボンリサイクルの社会実装の加速に向けて、国内外の産学官関係者が一堂に会し、知見の共有、先進的な技術開発・実証の成果の発信及び国際連携の強化を図ることを目的に、2019年から継続して開催しています。

 

以 上

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