2019年 7月 17日 (水)

加藤千洋の「天安門クロニクル」(6)
特権と腐敗(上)壁新聞にみる学生、民衆の不満

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清廉だった胡耀邦への共感

   そうした手作りメディアの中には党長老ら老幹部の家系図を描き、子弟がどのようなポストにあるかを暴露するものも目立った。いつまでも権力の座に居座る長老たちと、その子弟である「太子党」に対する民衆の反感が読み取れた。太子党ファミリーが、それぞれの職場やポストに付随する権力を「打ち出の小槌」にして、いかに莫大な収入を得ているかを赤裸々に描いたものもあった。

   民主化要求運動に立ちあがった学生たちの主張の中心は「自由と民主」、あるいは「言論・報道の自由」ではあったが、当初から「独裁」「専制」反対とならび高級幹部の「特権」「汚職」批判も目立ち、それが民衆の共感を呼ぶことにつながった点も見逃せない。

   そして「胡耀邦の死」を学生たちが惜しんだ理由の一つは、胡は指導者の中では際立って「清廉」だったと、学生たちが認識していたからだと思う。胡にも徳平と徳華という二人の息子がいるが、彼らの不正を告発するようなビラや大字報は、私は一枚も目撃していない。趙紫陽の息子についての「悪いうわさ」は学生たちのビラで何度か目にしたが。(次回「下」に続く)

加藤千洋さん

加藤千洋(かとう・ちひろ)
1947(昭和22)年東京生まれ。平安女学院大学客員教授。東京外国語大学卒。1972年朝日新聞社に入社。社会部、AERA編集部記者、論説委員、外報部長などを経て編集委員。この間、北京、バンコク、ワシントンなどに駐在。一連の中国報道で1999年度ボーン上田記念国際記者賞を受賞。2004年4月から4年半、「報道ステーション」(テレビ朝日系)初代コメンテーターを担当。2010年4月から、同志社大学大学院グローバル・スタディーズ研究科教授。2018年4月から現職。
主な著訳書に『北京&東京 報道をコラムで』(朝日新聞社)、『胡同の記憶 北京夢華録』(岩波現代文庫)、『鄧小平 政治的伝記』(岩波現代文庫)など。
日中文化交流協会常任委員、日本ペンクラブ会員、日本記者クラブ会員。

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