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「有休も取らずにがんばる自分」は自己満足? 「ほぼ全消化」でも企業は意外と気にしていない

   有給休暇をほとんど消化する人は、企業からどう見られているのか。人事評価で、マイナスと答えた企業は7%にとどまり、84%超もの企業は「(プラスにもマイナスにも)考慮されていない」と回答した――

   内閣府が2014年5月13日に公表した「ワーク・ライフ・バランスに関する個人・企業調査」(一部は速報済)から、こんな実態が浮かびあがった。一方で、有休の取得率が低い人は、取得について、上司からネガティブなイメージを持たれるのでは、と考える傾向が強いこともうかがえる。調査結果からは、取得率の低い人が心配するほど、会社は(ほぼ)完全消化について、マイナス評価はしていない(気にしていない)と言えそうだが、果たして実態は……

有休取得者は「仕事に対する熱意が少ない人」?

   「自分に与えられた役割を果たし、付与された有給休暇のほとんどを消化すること」に対する人事評価を企業にきいた質問では、プラス評価が4.9%、マイナス評価7.2%だった。そして、「考慮されていない」が84.5%と大半を占めた。要するに、多くの企業はあまり気にしていないようだ。

   もっとも、有休制度の「建前」上、「ほとんど消化」をマイナス評価する、という「正直」な回答ははばかられた(企業へは郵送調査)、という可能性も考えられなくはないが、それにしても8割超で「考慮されていない」という数字は一定の重みがあるようだ。今回の調査(企業部分)は、「有休取得率が低いとされる4業種」(建設、運輸、小売、飲食)が対象で、有休取得に対し、(マイナス評価方向に)厳し目の数字が出ているという見方も可能で、他業種では、「考慮されていない」や「プラス評価」がもっと多い可能性も十分あり得る。

   一方、「有休を取得している人」に対して上司が抱いているであろうイメージについては、個人(ネット調査)にきいている。取得に対しネガティブな「仕事より自分の予定を優先する人」と答えた(複数回答)人の割合は、取得率5割未満の人は28.1%で、取得率7割以上の人の22.8%より多かった。「仕事に対する貪欲さ・熱意が少ない人」という回答でも、ほぼ同様の傾向がみられた。こうした上司からのネガティブな評価を予想(心配)していることが、有休取得率に影響している可能性はありそうだ。

個人と企業とのスレ違い

   有休取得率について、政府は2010年の新成長戦略で、2020年までに70%にする目標を掲げた。2013年の取得率は12年より下がり47.1%にとどまった、とする厚生労働省調査を伝えたJ-CAST会社ウォッチ記事には、「有休はもらえていません。くれと言うと死ねと言われます」といった、取得ができない、著しく困難だという趣旨のコメントも寄せられた。一方で、こうした声に対し、「奴隷自慢だらけ」などとする指摘もあった。

   「奴隷自慢」は言い過ぎにしても、「有休も取らずにがんばる自分」に対して本人が多少なりともプラス評価をしているとすると、今回調査の結果「(ほぼ完全消化でも)考慮されていない84.5%」は、個人と企業とのスレ違いの一端を浮き彫りにしたとも言えそうだ。