J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

「日本製最高、アジア他国製は低品質」が打ち砕かれる日

   約1年前の2013年5月、中国で行なわれている広州交易会で訪れた、電化製品のブースをみて、私は本連載でこんなコラムを書きました。

日本テレビメーカーの『暗い未来』 甘い願望を打ち砕く『広州交易会』の現実

   大型テレビが2万円台で並んでおり、4Kテレビもある。そんな現状をお伝えしたコラムです。

中国メーカー、「サムソンを脅かす存在」に

広州交易会の様子(昨2013年5月のコラム掲載写真)
広州交易会の様子(昨2013年5月のコラム掲載写真)

   多くの日本の人たちは、それでも中国製品は品質が悪い、高機能製品は日本製という思い込みがあるので、一生懸命この事実を否定したくなるわけですが、2014年になると、中国製の4Kテレビも発売されました。

   中国のXiaomiが発売した、Android OS搭載、3D対応49インチの4Kテレビ「Mi TV 2」は3999元(約6万5000円)です。

   日本メーカーの同等の商品の値段が20-40万円であることからみると、驚異的な安さです。

   中国製品には、すぐ壊れる、そもそも動かないなどのリスクもありますが、全ての中国製品がそうなわけではありません。実際、このTVを発表したメーカー、Xiaomiが作ったスマートフォンは、その高機能と低価格で2013年第4四半期に730万台のスマホを売っています。

   当初はAppleの真似だと言われていたのですが、実際Android OSであるにもかかわらずiPhoneユーザーが違和感なく使えると評判になっており、「サムソンを脅かす存在だ」とまで言われているのです。

「歴史は繰り返す」

   SONYは、2014年7月にテレビ事業を分社化し5000人の社員を削減、2015年3月期の黒字化を目指すと言っています。その方策が「フルハイビジョンの4倍の解像度がある『4K』など高精細テレビへのシフトを進める」などとあるのですが、このような現状をみると、目標達成について、とても楽観はできないでしょう。

   固定費を削減することで、一時的に利益を出すことはできるかもしれませんが、そもそも4Kテレビが必要なのか?というところから始まり、その4Kテレビの市場においてもアジアの強力なライバルに勝てるのか?という問題があるわけです。

   日本国内にいると「日本製品最高。アジア製品低品質」ということが刷り込まれており、すでにアジアの一部の企業は日本製を上回るコストパフォーマンスを出していることに気付きません。

   しかし、かつては「日本製品は粗悪」と言われていた時代があったという歴史から振り返ってみても、普通の「歴史は繰り返す」に過ぎません。

   このような現実を踏まえて、個人も、企業も、これからどのようなポジションを取るべきか考えなくてはならないのです。(森山たつを)