J-CAST ニュース ビジネス & メディアウォッチ
閉じる

営業未経験者が「伝説の成約」に成功した理由

   ITが普及した現代では営業手法が変わってきています。


   HPを活用したり、SNSで宣伝をして問い合わせを受けたりするような営業を行っている会社が多いのではないでしょうか。


   新規開拓で飛び込み営業をするのは非効率だし、なかなか上手くいかないので精神的にも疲れると思います。新入社員として入社して、上司から「飛び込み100件やってこい」とか言われたら、すぐに辞めてしまう社員もいるのではないでしょうか。


   新入社員に限らず、営業未経験で入ってきた中途入社の社員でも耐えられずに辞めてしまうかもしれません。

もともと工場でライン作業をやっていた

ダメ元で行ってみるか
ダメ元で行ってみるか

   このように、飛び込み営業はなるべくやりたくないという人が多い営業手段だと思いますが、商業施設の装飾、施工を行っている会社で営業をやっているAさんは、飛び込みで顧客を増やしてきました。


   Aさんはもともと工場でライン作業をやっていましたが、転職して今の会社に入社して 初めて営業をやったそうです。


   営業未経験なので会社としては任せる得意先がなく、Aさんの売上成績は低調で鳴かず飛ばずの時期が続きました。Aさんは30代前半で、既に結婚していて子供もいるので、嫌だからといって辞めて転職するにはいきません。Aさんの上司は「一緒に飛び込み営業をやってみるか?」と声をかけ、


   Aさんは「自分の売上成績を伸ばすには会社の既存客をあてにするのではなく、自分の客をつかんでいくしかない」と思い、飛び込み営業をすることになったそうです。


   営業未経験のAさんは、飛び込み営業をしてもなかなか上手くいかず門前払いの日が続きました。そんなAさんにも転機がやってきます。

上司は「お前、いくらなんでもあそこは無理だろう」

   その日も飛び込みをやっても連戦連敗で夕方になり、上司はAさんに「そろそろ会社に戻るか」と言ったその時、Aさんは「あそこにちょっと行ってきますよ」と車を降りようとしました。Aさんが飛び込み営業に行こうとしたのは、行政が管理している公共施設でした。


   さすがに上司も「お前、いくらなんでもあそこは無理だろう。やめておけよ」と言ったそうですが、「せっかくですからちょっと行ってきますよ」と車を降りていきました。


   上司は、断られてすぐに戻ってくるだろうと思っていましたが、10分経っても戻ってきません。30分が経過したときにAさんが笑顔で「今度、先方の課長が話を聞いてくれることになりましたよ!」と嬉しそうに報告してきました。


   そして、後日の打ち合わせで見事契約が取れたそうです。今でも取引が続いていて、Aさんの飛び込みで得たこの仕事は、社内でも伝説となっているようです。


   Aさんはその後、飛び込みによって新規の顧客を獲得していき、売上を伸ばして社内でも優秀な営業マンとして成長しています。


   Aさんの上司に話を聞く機会がありました。Aさんは、試行錯誤しながら自分で営業資料を作り、飛び込み営業を続けていたそうです。

   上司が「あそこは難しいんじゃないか」と言っても、「せっかくだから行ってきますよ」と自ら縁もゆかりもない会社に飛び込んでいったのです。

成果を出すにあたっての「王道」

   Aさんのこうした取り組みは、なかなかできるものではありません。営業を知らないがゆえの強さもあったと思います。


   多くの人は初めての仕事をやるときに、いろいろ勉強をすると思います。

   勉強するのは良いことですが、下手に知識が入ってしまうと先入観が生まれ、逆に行動の足かせになることもあります。


   幸いAさんは売上がなかったとはいえ、営業について勉強する間もなく、行動するしかありませんでした。行動する中で試行錯誤しながら営業を学んでいったのだと思います。


   そして、Aさんは辞めることができない状況にあったということも上手くいった要因の1つです。未経験の仕事で、なかなか成果が出ないとなれば精神的にもきついと思います。


   もし家族がいなかったら辞めてしまったかもしれません。

   逃げられない状況で、やるしかないと覚悟を決めた時に行動のスイッチが入ります。

   

   行動する→経験する(失敗する)→学ぶ

   

   シンプルですが、この順序が成果を出すにあたって王道だと思います。 行動することの重要性をAさんが体現してくれ、未経験の営業に勇気を与える存在になりました。

(野崎大輔)