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【読者編】「仕事が終わらないのに帰るパートはダメ?」ネットで大論争 賛否は五分五分だけど......

   「パートの人が、仕事が完了していないのに帰ってしまい、困っている」と嘆く投稿がインターネットで話題になっていることを紹介した2018年3月31日付「『パートが、仕事が終わらないのに帰る』『仕方ない』『無責任』どっち? 専門家に聞いた!」には、多くのJ‐CASTニュースの読者から意見が寄せられた。

   パートが残業すべきかどうか聞いたところ、賛否両論の真っ二つに分かれたのだが、読者の意見から、パート労働のあり方もまた浮かび上がってきた。

  • 女性の多くがパートで働いている(写真はイメージ)
    女性の多くがパートで働いている(写真はイメージ)
  • 女性の多くがパートで働いている(写真はイメージ)

「パートが正社員並みに働いたら、正社員なんていらない」

   J-CASTニュース・会社ウォッチ編集部は、「『パートが、仕事が終わらないのに帰る』『仕方ない』『無責任』どっち? 専門家に聞いた!」の記事に、「パートも残業すべきでしょうか。どう思いますか?」との「ワンクリック投票」を付けた。6つの回答の中から、読者の意見を聞いたところ、投票締め切りまでの2週間に5733票の回答があった。その結果は......

   1位「賃金が安く、福利厚生がないのだから残業する必要はない」35.0%(2004票)

   2位「言われたら残業すべき。でも、サービス残業はやっちゃダメ!」20.0%(1136票)

   3位「短時間なら残業する」14.4%(825票)

   4位「そもそも私がパートなら、残業が契約書に明記されている職場では働かない」13.2%(759票)

   5位「契約書に『必要な場合は残業する』と明記されているなら、しないとダメでしょ」11.2%(643票)

   6位「仕事が勤務時間内に終わらなかったら、残業して責任を果たすべきだ」 6.4%(366票)

   この結果から、「残業する必要がない」と考える人は、「賃金が安いから」(1位)と、「残業が契約書にある職場では働かない」(4位)を合わせて48.2%と、半数近くに達する。一方、「言われたら」(2位)、「短時間なら」(3位)、「契約書にあるなら」(5位)、「責任を果たすべき」(6位)と、理由は異なるものの「残業は仕方がない」と考える人が51.8%と、半数を少しオーバーした。

   「残業する必要がない」とする意見にはこんな声が――。

「パ-トの和訳は『部分』であり、時間を切り売りしている職だから。ひとまず、家計の助けになるために働きに出ているのだというのが、大部分のパートの本音でしょう」
「逆にパートによく2時間も残業させたな。そのパートさん偉いわ」

   また、パートに残業させようとする正社員に対する反発の声が非常に多かった。

「会社に一生を託している正社員は、そりゃあパートさんが報われない滅私奉公に尽くしてくれたら助かるだろうよ」
「パートにはパートの都合がある。忙しいなら、人事担当者に文句を言いなさい。正社員のためにパートがいるんじゃない。正社員にパートをどうこうする権限はない。履き違えるな」
「『賃金が安く、福利厚生がない』人材が、責任を果たすよう正社員並みに働いたとしたら、正社員って何のために会社から雇われているの? そのうち要らなくなりますよ」

「定め」があれば、会社は残業を頼む場合がある

   正社員に対する怒りの声がある一方で、「パートの残業は仕方がない」とする人の大半は、「契約書に書かれているから」というものだ。記事中でも、労務問題に詳しい石崎冬貴弁護士が「パートに適用される就業規則や雇用契約書に、所定労働時間を超える労働(残業)があると明示していれば、会社は残業を命じることができる」と指摘していた。

   自らパート・アルバイトという人がこう語った。

「残業を頼まれる場合があるので、たまにしている。他のパートの人もしている。1時間2時間残るのはかなり大きいですが...... もちろん、残業を頼む場合があるという『36協定』を結んでいますので」

   「36協定」とは、会社(事業所)と労働組合などが結ぶ「時間外・休日労働に関する協定」で、労働基準法第36条に基づく。パートについても、雇用契約書、就業規則に定めがあれば、会社は時間外および休日労働を頼むことができる。

   そもそも、なぜパートの残業が発生するのか――。会社側の責任を厳しく追及する声がいくつかあった。

「Aさん...... 仕事が早く予定の内容をこなし、時間できちっと帰る。Bさん...... 仕事が遅く、ダラダラと残業し、それを気にもしない。Aさんの3分の2も働けていない。時給が同じだとAさんよりBさんの給料が高いという悲しい現実。パートの時給は実力で評価されない。能力の高い人がやっても終わらない仕事なら、明らかな人手不足。能力の低い人にダラダラやらせているなら、指導不足。残業が常態化しているなら雇用時間を変更したらいい。保険加入させたくないから長時間の契約ができないのなら呆れるしかない」
「労働者の責任感とやらに会社は甘えすぎ、都合よく使いすぎ。レジに客が列をつくっていたら、勤務時間を終わっても一区切りするまでやっていくのを美徳にしていたら、いつまでたっても残業なんて減らせないよ。パートや派遣さんは時間になったらサッと上がれるような体制を考えるのが会社のやるべきことでしょ」

ブラック企業20年パートが「残業がうれしい」ワケ

   最後に、非常に珍しいケースと思われるが、残業が苦にならないパートの人も。「ブラック企業で20年パートをしている」人がこう語った。

「低時給で仕事量がものすごい企業で20年働いています。シフトの固定で、土日が休みなので予定を立てやすいからです。今までに経験のないほどの人手不足で、担当の仕事量が3倍になり、契約の時間内で終わることはまずありません」

   しかし、辞められると困るためサービス残業がなくなり、たった1分の時間外にも賃金を払うようになった。うれしい人手不足というわけだ。

「だからといってダラダラと仕事をすることはありませんが、不満が軽減したのは確かです」

   何だか、残業を喜んでいる雰囲気さえ感じられる。