2024年 4月 29日 (月)

【書評ウォッチ】個性的で強い政治家への郷愁 戦後を映す角栄本

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ロ事件で「覚悟」を語る田中角栄

   この欄でとり上げられた本はほかにも多彩だが、中の4冊は「品切れ」。とすれば一般読者が気軽に書店や通販で買うことはできそうにない。このへんの配慮があっていい。

   中国の知日実務家が田中との再会から書き始める『中日友好随想録』(上下、孫平化著、日本経済新聞社)が日経に。ロッキード事件で係争中の田中は、別れ際に「面壁十年の覚悟」と語ったという。田中首相の訪中を支えた著者の回想記だ。

   ほかにも中曽根康弘、竹下登、宮沢喜一ら歴代の首相や各界にわたる多彩な人々との交流と対話が記録される。たしかに価値ある資料だが、服部龍二・中央大学教授の評は、それらの名前の羅列が50数行中14~5行も。それより「歴史教科書」「靖国」などの記述内容やエピソードをわかりやすく紹介すべきだろう。「書」の「評」としてはやや疑問だ。

(ジャーナリスト 高橋俊一)

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