2024年 4月 26日 (金)

「さしこ」が見せた左遷からの復活 不遇の時代を乗り切るキーワードとは

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   今年のAKB48選抜総選挙は、指原莉乃がスキャンダルで左遷されながらも見事に1位を勝ち取ったと話題になった。人間誰しもいつも順風満帆ではない。思いがけず訪れる不遇の時代をどう乗り切るか、サラリーマンにとっても勝負どころだ。人生の冬をくぐり抜ける知恵を身につけたい。

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経済小説の第一人者が授ける知恵の数々

『打たれ強く生きる』
『打たれ強く生きる』

『打たれ強く生きる』

   出る杭は打たれる。サラリーマン社会でよく聞かれる言葉だ。しかし、一度打たれたからといって、引きさがったままでは何事も成就しない。むしろ、打たれたあとこそ、真価が問われる。新潮社の新潮文庫『打たれ強く生きる』(著・城山三郎、452円)は、経済小説の第一人者が企業社会に生きるビジネスパーソンに語りかける人生の知恵とヒントの数々を収めたものだ。

   著者には、国家や社会のために命をかけた政治家や経済人を描いた伝記小説が多いが、歴史上の人物や現代の各分野の著名人の人生訓や座右の銘を紹介しながら、人生の本当の勝者となるためのキーワードを授けてくれる。「自分だけの時計」「ぼちぼちが一番」――。平易な言葉の中に心に響く何かがある。

失意のどん底を明るく駆け抜ける

『夏色ジャンクション 僕とイサムとリサの8日間』
『夏色ジャンクション 僕とイサムとリサの8日間』

『夏色ジャンクション 僕とイサムとリサの8日間』

   人生、明日何が起こるかわからない。一発逆転だって不可能じゃない。まして、青春真っ盛りの夏ならば。実業之日本社文庫の『夏色ジャンクション 僕とイサムとリサの8日間』(著・福田栄一、720円)は、夏の切ない8日間を描いた青春ロードノベルである。

   親友と恋人に裏切られ借金を背負い、失意のどん底にいる信之はミニバンで寝起きする日々。あるとき、ひょんなことから大金を持つ老人イサムと出会う。そこに、ヒッチハイクで青森をめざすアメリカ娘リサが加わり、3人で東北をめぐる旅が始まる。信之はイサムの金を奪おうと考えるが、計画は迷走。いつしか、人と人の信頼が芽生え――。心の中の暗雲を取り除いてくれる読後感爽やかな1冊だ。

冷遇の時代をチャンスに変える

『逆境克服 元三越の天皇・岡田茂の側近が、左遷先でつかんだ「意地」の成功』
『逆境克服 元三越の天皇・岡田茂の側近が、左遷先でつかんだ「意地」の成功』

『逆境克服 元三越の天皇・岡田茂の側近が、左遷先でつかんだ「意地」の成功』

   上司が解任されたとき、殉じて冷や飯を食うか、手のひらを返すように相手方に取り入るか。サラリーマンの正念場である。PHP研究所からの『逆境克服 元三越の天皇・岡田茂の側近が、左遷先でつかんだ「意地」の成功』(著・天野治郎、1470円)は、前者を選んだ男の闘いの記録である。

   上司とは、三越の天皇といわれた岡田茂。著者はその岡田を心から尊敬する側近中の側近だったが、岡田は一連のスキャンダルで突然社長を解任される。著者は大阪に追われ、さらに台湾へと左遷された。だが、その台湾で挽回のチャンスをつかむ。いまは亡き妻の献身と励ましに支えられながら苦節19年、台湾の人とともに台湾一を誇るデパート「新光三越」を育て上げた。山あり谷ありの波乱万丈、逆境こそ成功の母だった。

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