2024年 5月 7日 (火)

禁煙絶対主義ではなく「害の少ないたばこ」という選択肢を ハーム・リダクションに関する意見交換会が開催

治療を受けても禁煙に失敗する人が多数いる事実

   紙巻きたばこによる喫煙が体に悪いことは、たばこ業界を含む全世界の共通認識だ。ところが世界レベルで見ると喫煙者数は増加しており、とくに中国の伸びが高い。2005年にWHO(世界保健機関)によって「たばこ規制枠組条約」が発効し、禁煙は世界的な兆候となっているものの、喫煙率が低下しているのはもっぱら欧米諸国。こうした地域の公衆衛生・規制当局が、喫煙開始の予防や禁煙促進を補完する政策として、たばこハーム・リダクションを提唱しているのは興味深い。

   ランチョンセミナーに続くシンポジウムでは、たばこハーム・リダクションの提唱者で世界的権威である、ジョンズ・ホプキンス大学(アメリカ・メリーランド州)のジャック・E・ヘニングフィールド教授、金沢大学工学部の大谷吉生教授、LSIメディエンス(薬理研究部)の廣中直行さんらが登壇し、たばこハーム・リダクションについて意見を交わした。

   禁煙をはじめて1年後も禁煙を継続できている人は3割程度。白か黒かという考えではなく、その中間の選択肢――「IQOS」のような代替品を用意することで喫煙やたばこの害が減らせるのではないかという考えが示されると、登壇者たちは一様にうなずいた。

   シンポジウム終了後、登壇者に加えてPMIの研究員、禁煙外来に従事しているAOI国際病院の熊丸裕也副院長/健康管理センター長が参加し、マスコミ向けグループインタビューが行われた。

   現在の日本においてハーム・リダクションの議論は活発ではなく、「禁煙が大前提」と慎重派が医療従事者の大半を占める。最近考えを切り替えたという熊丸副院長は、たばこハーム・リダクションを推進するのが望ましいと肯定的な意見を述べた。

「IQOSは副流煙(喫煙者が吸い込む主流煙に対してたばこの先から出る煙)が出ておらず、受動喫煙のリスクは限りなく低減されていると考えられる」
「(紙巻きたばこと比べて、喫煙者の)長期成績でも害を増やすことはないと思います。有毒物質を減らしているんだから。禁煙できない人がいる以上、こういうものを支持したいと僕は思っています」
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