2019年 12月 15日 (日)

作家のTシャツ愛 村上春樹さんはクルマ柄ならフォルクスワーゲン推し

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口語体も違和感なく

   上記コラムのタイトルは「フォルクスワーゲンは偉いかも」である。私にとってVWのクルマたちは、手堅いがやや退屈というイメージである。もちろん「※個人の感想」であるし、それらの所有者やメーカーの印象ではない。

   ところが、エッセイに添えられたビートルTシャツの写真を見ながら改めて文章を読むと、こんな感じも飽きが来なくていいかもと考え直した。私に思い直させたのは、すっきりデフォルメされたデザインか、作家の平易な文章か、よくわからない。

   Tシャツに向きそうなクルマといえば、今もハバナあたりで観光用に走る1950~60年代のアメ車である。テールフィンが立った派手なボディラインと、ギンギラギンの原色。すでにクラシックカーだから、もはや成金なんて言われない。その種の「ありそうな」図柄を排し、地味な結論に落とし込むあたり、村上さんのダンディズムなのかもしれない。

   それにしても、口語体のくだけた文章と、ノーベル賞候補との落差よ。それこそTシャツとタキシードほどの差といえるが、村上さんの中では、それらが同じ高さ、順不同で、違和感なく並んでいるに違いない。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)

コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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