2024年 4月 19日 (金)

【センバツ】死力を尽くした近畿の名門校対決は来田のサヨナラ本塁打で決着!

サヨナラホームランを放った来田涼斗(明石商)
サヨナラホームランを放った来田涼斗(明石商)

準々決勝 明石商vs智辯和歌山

   能力が高い打者と能力が高い投手との本気のぶつかり合いは見応えがある。そう実感させられる試合だった。

   両校の対決は昨秋、近畿大会準決勝以来。前回は明石商が5回コールド勝ちを収めたが、やはり半年間を経て大きく変わった。

   まず智辯和歌山は1回表、押し出し四球で1点を先制したが、明石商は1回裏、1番来田涼斗がライトスタンドへ先頭打者本塁打を放ち同点に追いつき、一死三塁から4番安藤 碧の内野ゴロの間で1点。2回裏、さらに1番来田の犠飛で1点を追加し、3対1。ここまで明石商のペース。そのまま明石商が突き放す試合展開に見えた。

 

   しかしその流れを変えたのが智辯和歌山の小林樹斗である。1回戦では最速143キロを計測した2年生右腕。昨日の2回戦の啓新戦の試合後、この試合へ向けて意気込みを語ってくれた。

「前回の対戦では追い込んでからのボールが甘くなっていたのでフォークを磨いてきました。追い込んでからの投球をしっかりしたいです」
 

   まさにそのテーマ通りのピッチングだった。今日はキャパ全開のピッチング。真っ向から振り下ろすストレートは常時130キロ後半~143キロを計測。さらに130キロ台のフォークも決まり、明石商打線を封じる。4回裏には最速147キロを計測。小林は「初戦よりも力みが抜けて良い状態で投げることができたと思います」とコメントするように伸びやかな投球フォームは初戦よりも躍動感があった。智辯和歌山打線は5回表に反撃。

 

   2番西川晋太郎の安打から始まり、3番黒川史陽が左中間へ鋭い二塁打。西川は一気に生還し、1点を返す。2人は2年生右腕の好投に刺激を受けていた。

「やっぱり2年生が頑張っているので僕らが打たないと」(西川)
「刺激になりました。樹斗が死に物狂いで投げて頑張っていたので、何としても打たないと思っていました」(黒川)

   さらに5番根来塁が犠飛を放ち、同点に追いつく。試合は同点のまま後半戦に突入する。

最速147キロを計測した小林樹斗(智辯和歌山)(写真=共同通信)
最速147キロを計測した小林樹斗(智辯和歌山)(写真=共同通信)
 

   ここからは小林、明石商の中森俊介の投げ合い。小林はストレートとスプリットを器用に投げ分け、明石商打線を抑える。先頭打者本塁打を放った来田には、スプリットで三振。小林は捕手の東妻純平から「同じ2年生だから負けるな」と檄を飛ばされて打ち取った三振だった。

 

   中森は連投ということもあって調子は良くなく、体重移動が良くなく、引っ掛けるボールが多い。ただここぞという場面の投球が素晴らしく、7回表、一死三塁のピンチを招いたとき、6番佐藤樹に対し、内角いっぱいに146キロのストレートで見逃し三振。調子は良くないが、体の底から湧き上がるような迫力満点のストレートはこの3試合で一番迫力があった。中森も「ベストストレートです」といえば、受ける水上も「今まで一番良いストレートでした。本当にすごかったです」と絶賛するほどだ。

 

   多彩な球種と高回転のストレートを冷静に投げ分ける中森も良いが、気迫がこもった中森の姿もよい。新たな可能性が見えた試合だった。

 

   試合は3対3のままで進み、9回裏、1番来田がサヨナラ本塁打。来田で始まり来田で終わる劇的な展開に甲子園に集まった観衆は大歓声。死力を尽くした両校の戦いは最高の形で幕切れとなった。

   来田は「芯に当たったんですど、ライナーだったんでどうかなと思ったんですけど、一塁ベース回ったぐらいにホームランだと思いました。サヨナラ本塁打は初めてで最高にうれしいです」と朗らかな笑顔を見せた。

 

   中森にとっても、来田にとっても一皮むける試合になったといえるだろう。

 

   一方、智辯和歌山は惜しい試合だった。遊撃手の西川は「近畿に出て、もう一度、明石商と対戦して、今度は勝ちたいです」と気持ちを新たにしていた。

 

   2018年秋から始まった明石商vs智辯和歌山の宿敵対決。また名勝負を繰り広げてくれそうだ。

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