2020年 11月 28日 (土)

山崎まさよし、映画「影踏み」
デビュー25周年と新作アルバム

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   タケ×モリの「誰も知らないJ-POP」

   このところ様々な場所で「山崎まさよし」という名前を目にすると感じている方も多いのではないだろうか。特に、普段は音楽とは縁のないテレビのバラエティー番組や一般誌などで取り上げられている。

   その理由はひとえに彼が主演している映画「影踏み」にある。原作・横山秀夫。「半落ち」や「クライマーズ・ハイ」「64-ロクヨンー」など、映画化された原作が大ヒットしている人気作家。「影踏み」は、彼の作品の中で未だ映画化されない「最後の一作」と言われていたのだそうだ。

   映画化不可能、と言われていた小説の映画化、しかも主演と音楽がデビュー25周年を迎える実力派シンガーソングライター。話題にならないはずがない。

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職人肌の男の気持ちは想像できなくはない

   山崎まさよしは、71年生まれ。95年に「月明かりに照らされて」でメジャーデビュー。96年に主演した映画「月とキャベツ」の主題歌「One more time、One more chance」が大ヒットしてブレイクした。2005年には「8月のクリスマス」にも主演。映画には縁のあるシンガーソングライターと言って良さそうだ。

   もっと言えば、彼がプロになるきっかけになったのはキティ・フィルムの俳優オーディション。でも、それが映画のためと知らずに応募したところから始まっている。その時は合格せずに特別賞。キティは音楽制作部門も併せ持っており、そちらのスタッフの目に留まっていて契約される運びとなった。

   今回の「影踏み」は14年ぶりの主演。監督の篠原哲雄は、「月とキャベツ」の監督。つまり、役者としても気心の知れた仲、ということになる。共演が尾野真千子、北村匠海、鶴見辰吾、下条アトム、大竹しのぶというそうそうたる顔ぶれ。少なくともミュージシャンの余技、という次元では毛頭ない重厚な演技で存在感を発揮している。

   何しろ彼が演じる主人公は泥棒である。深夜人のいる家に忍び込んで証拠を残さないまま現金を持ち去る。"のび師"という言葉があるのだそうだ。貧しい家や立場の弱い人の家には入らない"義賊"的泥棒。そういう意味では"悪役映画"、洋画的に言えば"フィルム・ノワール"ということになる。

   横山秀夫作品を愛読していたという山崎まさよしは、映画のパンフレットのインタビューの中で、泥棒を演じることについて「自分に合うんじゃないか、とほんの少し思った」とこう話している。

   「シンプルに『官』ではなく『民』の主人公だから。たとえば刑事とか検察官の役を僕が演じるというのは、やっぱりリアリティーがないと思うんです。でも、『影踏み』は、ずっと組織を描いてきた横山さんの作品で唯一、アウトローが活躍する小説ですし。同じ『民』でも、医者や弁護士の役は絶対に無理だけど、泥棒ならいけるんじゃないかと(笑)。もちろん、僕は真夜中にこっそり人の家に忍び込んだ経験はありません。でも、真壁修一という主人公を『自分の腕一本で生きて来た職人肌の男』と捉えるならば、その気持ちはミュージシャンである僕にも想像できなくはない」

タケ×モリ プロフィール

タケは田家秀樹(たけ・ひでき)。音楽評論家、ノンフィクション作家。「ステージを観てないアーティストの評論はしない」を原則とし、40年以上、J-POPシーンを取材し続けている。69年、タウン誌のはしり「新宿プレイマップ」(新都心新宿PR委員会)創刊に参画。「セイ!ヤング」(文化放送)などの音楽番組、若者番組の放送作家、若者雑誌編集長を経て現職。著書に「読むJ-POP・1945~2004」(朝日文庫)などアーティスト関連、音楽史など多数。「FM NACK5」「FM COCOLO」「TOKYO FM」などで音楽番組パーソナリテイ。放送作家としては「イムジン河2001」(NACK5)で民間放送連盟賞最優秀賞受賞、受賞作多数。ホームページは、http://takehideki.jimdo.com
モリは友人で同じくJ-POPに詳しい。

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