2021年 9月 26日 (日)

イタリアの太陽と民謡に影響されて、陽気な「イタリア奇想曲」

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冬の寒い時期にこそ聴きたい

   一旦スイスに腰を落ち着けた後、欧州各地を旅行しますが、クラシック音楽の母国であるイタリアにも頻繁に足を向けます。

   この辺りのことは交響曲第4番の時にも触れましたが、南の国イタリアは、やはりチャイコフスキーの心に明るさをもたらしてくれたようです。他の作品を作曲する合間に、現地イタリアの音楽的素材・・・それは、ローマで遭遇したカーニバルの音楽だったり、道端で耳にした民謡だったり、滞在するホテルで聞こえた兵舎のラッパの音だったりしますが、そういったものを織り込んだ「イタリア」を音で表現する曲を構想しはじめるのです。すでに何回もイタリアを訪れているので、おそらく彼の頭には素材は十分揃っていたのでしょうか、全体で、15~16分もかかるオーケストラの曲なのですが、1月に2週間ほどで草稿を仕上げ、5月にはオーケストラ総譜を完成しています。その年の12月にはモスクワで初演されるというスピードで世の中に披露されました。

   チャイコフスキーお得意の金管の明るいアンサンブル、メランコリーさを持ちつつ歌う弦楽器や木管楽器の旋律、それらがそれぞれ「イタリアの要素」を奏で、最後は南イタリアの軽快な舞曲タランテラのリズムとともに、華々しくクライマックスを迎えるこの曲は、初演の時から好評をもって迎えられ、現在でも広く愛されています。

   チャイコフスキーの心に差したイタリアの太陽が、そのまま曲に反映されているかのような「イタリア奇想曲」。冬の寒い時期にこそ聴きたい名曲です。

本田聖嗣

本田聖嗣プロフィール
私立麻布中学・高校卒業後、東京藝術大学器楽科ピアノ専攻を卒業。在学中にパリ国立高等音楽院ピアノ科に合格、ピアノ科・室内楽科の両方でピルミエ・ プリを受賞して卒業し、フランス高等音楽家資格を取得。仏・伊などの数々の国際ピアノコンクールにおいて幾多の賞を受賞し、フランス及び東京を中心にソロ・室内楽の両面で活動を開始する。オクタヴィアレコードより発売した2枚目CDは「レコード芸術」誌にて準特選盤を獲得。演奏活動以外でも、ドラ マ・映画などの音楽の作曲・演奏を担当したり、NHK-FM「リサイタル・ノヴァ」や、インターネットクラシックラジオ「OTTAVA」のプレゼンターを務めるほか、テレビにも多数出演している。日本演奏連盟会員。

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