2021年 8月 1日 (日)

ツイッター離れ 鴻上尚史さんは人気ゆえに傾いたユースホステルを思う

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初期の和気あいあい

   私が半ば社命で実名ツイートを始めたのは2013年。初期を知る人は「のんびりと、和気あいあいとしていた」と言うが、私にすれば最初から殺伐としていた。とりわけ政治的なツイートには前後左右から激しい言葉が飛んできた。多くが匿名の、言いたい放題である。

   退社して「朝日公式」の看板が消えると、ツイート内容の自由度は増し、罵倒や中傷の類もぐっと減った。その分、140字にいかに情報を詰め込むか、誤解を避けつつファクトや意見をどうまとめるかに精力を注げるようになった。

   確かに簡潔な文章は難しく、ツイートを真剣に重ねていればいい文章教室になるだろう。初期の鴻上さんのツイッターには、「読んで文章の推敲力をつけたい」といった返信もあったという。ただ、そこでのやりとりは玉石混交だ。アカウントはピンキリで、善意より悪意が飛び交いやすいのもその通り。嫌気が差して「卒業」する人も多い。

   鴻上さんが、今のツイッターをユースホステルに例えたのはさすがだ。「ナンパ目的」「自分の話だけを延々と」「上手くもないのに歌い続ける」...ユースの宿の夕食後の風景は、まさにツイート空間の現状である。

   100年超の歴史を誇るユースホステルは健在で、日本協会によると北海道から沖縄まで220カ所が運営されている。最盛期だった1970年代半ばの600カ所からは減ったが、初期の「和気あいあい」が復活しているのかもしれない。

   もちろん、ツイッターが「災い転じて」になる保証はない。

冨永 格

冨永格(とみなが・ただし)
コラムニスト。1956年、静岡生まれ。朝日新聞で経済部デスク、ブリュッセル支局長、パリ支局長などを歴任、2007年から6年間「天声人語」を担当した。欧州駐在の特別編集委員を経て退職。朝日カルチャーセンター「文章教室」の監修講師を務める。趣味は料理と街歩き、スポーツカーの運転。6速MTのやんちゃロータス乗り。

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