東京都が「都立大」の学費無償化進める 世帯年収910万円未満の学生まで対象

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   東京都の強力な少子化対策が注目されている。0~18歳への月5000円給付(所得制限なし)だけではない。2024年度から東京都立大(八王子市)の授業料無償化対象を、世帯年収910万円未満の学生まで広げる方針も新たに発表された。受験生や親にとっては朗報だ。

  • 東京都の少子化対策が注目されている(写真は東京都庁)
    東京都の少子化対策が注目されている(写真は東京都庁)
  • 東京都の少子化対策が注目されている(写真は東京都庁)

授業料は年約52万円

   朝日新聞によると、東京都は都立大について、授業料無償化の対象を、今の「世帯年収478万円未満」から一気に「同910万円未満」に広げる。都立大は学生数約7000人で、授業料は年約52万円。

   また都立の高等専門学校についても同様とする。現在、4年生以上は同350万円未満の学生を無償化の対象としているが、24年度から同910万円未満に引き上げる。1~3年生はすでに同910万円未満の学生が無償化されている。

   都は1月27日、これらの事業を含む総額約1兆6000億円の少子化対策予算案を2月定例都議会に提出した。

   大学授業料については、国が、世帯年収270万円未満の学生には全額を、同380万円未満の学生には3分の1をそれぞれ助成するなどして負担を軽減している。 都は都立大について、これまで独自に、この国の基準に助成を上乗せしていたが、今回、さらに条件を緩めることになった。

半世紀前は年間1万2000円

   大学の授業料は近年、諸物価の中でも最も値上がりしたものの一つだ。

   都内の男性(73)によると、1968年に国立大学に入学したときは、授業料は年間1万2000円。在学中はずっと同じだった。当時は月8000円の奨学金があり、返済義務はそのうち3000円にとどまっていた。授業料の減免も幅広く行われており、「学生寮に住んでいた仲間には、減免措置を受けている人が多かった」という。

   厚生労働省の賃金構造基本統計調査などによると、68年の大卒初任給は月給3万600円。70年は3万9900円。年間授業料は、初任給の約3分の1程度。かなり安かった。

   当時は学生運動が盛んで、「学費値上げ」は全学ストライキになりかねないリスクがあり、政府や大学当局は慎重だった。しかし、学生運動が沈静化するのに反比例するかのように、値上げラッシュが始まった。

   大卒初任給は90年代以降、20万円前後で頭打ち。一方で、授業料は上がり続け、90年ごろには年間30万円を超え、現在は50万円を超えた。学生や親の負担感が増している。

   都立大は司法試験の合格者も多く、予備校などの大学ランキングでは一部の旧帝大と匹敵するレベル。学部にもよるが、卒業後は都庁や23区の職員になる人も多い。学費の免除基準の大幅緩和は、優秀な学生が集まることにもつながり、結果的に都にとってメリットもありそうだ。

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