2024年 5月 20日 (月)

映画俳優も唸る「WEBTOON」演出技法 伊能昌幸「バトルアクション漫画」語る

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【すばらトゥーン】
スマートフォンで読むのに最適化されたフルカラーの縦読み漫画、「WEBTOON」。韓国発のコンテンツだが、昨今は国産作品の台頭もめざましい。
ナンバーナインが運営するWEBTOON制作スタジオ「Studio No.9」の漫画編集者・遠藤さんをメインパーソナリティに迎え、ツイッターのスペースで「国産のすばらしいWEBTOON作品とホットトピックを紹介する番組」を実施。記事では模様をダイジェストでお届けする。

   ナンバーナインが運営するWEBTOON制作スタジオ「Studio No.9」の漫画編集者・遠藤さんをメインパーソナリティに迎え、ツイッターのスペースで「国産のすばらしいWEBTOON作品とホットトピックを紹介する番組」を実施。記事では模様をダイジェストでお届けする。

   第三回のゲストは、映画「最強殺し屋伝説国岡」「グリーンバレット」などで主演を務めた、マンガ好き俳優・伊能昌幸さん。アクションと映画を知る立場から、遠藤さんと共におすすめのWEBTOON作品を紹介してくれた。

  • (左から)「Studio No.9」の漫画編集者・遠藤さん、俳優の伊能昌幸さん
    (左から)「Studio No.9」の漫画編集者・遠藤さん、俳優の伊能昌幸さん
  • (左から)「Studio No.9」の漫画編集者・遠藤さん、俳優の伊能昌幸さん

「斜め上のモラハラ」に読者大興奮

   まずは、伊能さんが推す二冊から見ていこう。

(1)下克上監督(19:44~)

「映画監督志望の青年が主人公。段取り一切なしで、本当のケンカシーンを収めてつなげ、とんでもない方法で作った映画で賞を獲ろうとする。良い画を撮るために主人公が格闘技の訓練をするなど、格闘漫画らしいエッセンスもある」(伊能さん)
「主人公たちが試練に見舞われ、苦労し続ける、ドロ臭いスポ魂モノ。作者がスポーツ漫画で『ファンタジーバトルとは違う、リアルな肉体のアクション』を描いていた経験があり、それが生きている」(遠藤さん)

(2) 監禁区域レベルX(44:50~)

「謎の生命体『X(サイ)』の出現により、マンションの中に閉じ込められた主人公たちが脱出を目指すホラー漫画。冒頭、主人公は部屋で寝過ごし、避難が遅れてしまうのだが、読んでいくとそれがなぜかわかる。この時代に生まれたホラーという感じ」(伊能さん)
「これほどセリフが少ないWEBTOONはなかなかない。主人公が戦う力を持たず、基本的に逃げ惑っているうえ、迫ってくるモンスターには話が通じない。とにかく恐怖演出に特化している」(遠藤さん)

   伊能さんは「下克上監督」一話目が印象的だったようだ。主人公が、屋根の上で繰り広げられている戦いを撮るシーンだ。命綱をしておらず、落下してしまうという驚きの展開だが、「読み進めると、こういう主人公なら、こういうことをすると納得できる」と伊能さん。

   俳優としての経験上、殺陣や段取りを考えず、本気で戦うと「画映えしないことがほとんどで、『使える・使えない』の差が大きい」というが、同作の主人公が「作品に使える数秒間」を撮るために、労力と手間と時間を惜しまない点を挙げ、「毎度それなりの画が撮れ、ちゃんと一歩一歩進んでいる。目的のための、理にかなった行動」と説明。アクション映画のプロの目にも、リアリティのある物語として映っているようだ。

   続いて、遠藤さんのおすすめ作品は下記の通り。

(1)氷の城壁(10:51~)

「四人の高校生男女の青春物語。根暗の主人公も、陽キャのイケメンキャラも、それぞれ生きづらさや悩みを抱えている。学生ならではの考え方・感覚を思い出させてくれる作品」(遠藤さん)

(2) 離婚後夜(33:30~)

「献身的な女性が主人公。モラハラ夫の不倫が発覚して離婚に至る。LINEマンガのコメント欄をみると、優しい正ヒーローが活躍した時よりも、夫が『斜め上のモラハラ』を発揮した回の方が、コメントの数や熱量が多く、読者の心が揺さぶられている」(遠藤さん)

   WEBTOONは昨今「スタジオ制作」が主流だが、「氷の城壁」は、作者の阿賀沢紅茶さんが一人で手掛けている。しかもフルカラーだ。遠藤さんは「WEBTOON×個人作家」に大きな可能性を感じていると話す。詳しくは、第二回すばらトゥーン記事にて。

「同じ画角のコマが30連続する」ワケ

   続いて「WEBTOON HOTPIC」。一つ目の話題は「ホラー×WEBTOONに期待大」だ(52:00~)。

   伊能さんは、縦読みのホラー漫画について「ワナを仕掛けやすい」構造だと話す。「油断していると、突然怖い画像が出てくる」のが、ツイッターのタイムラインを見ていて、怖い画像がいきなり出てくるのと似ているという。横開きの漫画だと、見開いた瞬間に次の展開までわかってしまうリスクがあるが、縦スクロールだと余白(スペース)を増やしたり、減らしたり調整することでネタバレを防ぎつつ、不意を衝いた恐怖演出ができる(57:37~)。

   遠藤さん曰く、ホラージャンルは「どうやったら怖く見えるか」を徹底追求している演出の宝庫。演出面でまだまだ発展途上のWEBTOONとかけ合わせることで、今後、面白い作品が生まれるのではと期待している。例えば、韓国産WEBTOONの「バスタード」では、ある場面で同じ画角・構図のコマが30くらい続くという。いったいなぜなのか、詳細はスペースにて(59:26~)。

   最後に遠藤さんは「WEBTOON業界を直近でザワつかせた話題」として、「ジャンプTOON」を紹介した。集英社が2023年5月30日に開始した、縦読みマンガサービスだ。

「昨今のWEBTOONの盛り上がりは、ジャンプが専門の媒体を立ち上げるくらいだと思っていてほしい。ライバルだが、一読者としてはどんな作品が出てくるのか楽しみ」

と話した(1:05:10~)。

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