泣ける!「ゆうきのうた」 ネットからメジャーへ

   ♪呼吸するように 頑張らないように できる限りをやればいいんだ♪――13歳の女の子がやさしい声で歌う『ゆうきのうた』。動画投稿サイトで「泣ける」と話題になり、ついにメジャーデビューをはたした。その歌詞には、母親から娘への想いが込められている。

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最初は「結婚式ソング」から始まった


『ゆうきのうた』ジャケット写真

   エイベックスから2008年2月6日に発売された『ゆうきのうた』を歌うのは4人組バンド「でんしれんぢ」。ボーカルは「すずーだ」と名乗る13歳の女の子だ。すずーだのお母さん「めぐーだ」ら4人でバンドを組み、愛媛県を中心に活動している。

   『ゆうきのうた』はもともと、インディーズレーベルのオルネシオレコードから発売された。発売のきっかけは結婚式だ。オルネシオレコードの石水朋哉社長の結婚式で、友人のめぐーだが作った『ゆうきのうた』を、その娘のすずーだが歌った。すずーだの無垢な歌声に感動した石水社長は「CDを作ろう!」と思い立った。

   それまではWEBサイト制作や広告関係の仕事をしていた石水社長だったが、会社の新規事業として「インディーズレーベル」の音楽事業を07年4月にスタートさせた。

「個人メディア」を使ってCDをプロモーション


「でんしれんぢ」のオフィシャルサイト。ブログやmixiで紹介しようと呼びけられている

   石水社長はかつて、めぐーだと一緒に音楽活動をしていたこともある元バンドマン。楽曲のアレンジやミックスは自分で行ったが、事業としてCDを制作・販売するのは初めてだった。

「CDを作ってはみたものの、スタッフ全員は音楽事業に関して、全くの素人集団でした。そこで、Web2.0によるブログやSNS等の『個人メディア』を利用したバイラルマーケティングに絞ったプロモーションをすることにしたんです」

と、『ゆうきのうた』の広報宣伝を担当するオルネシオレコードの金井伸一専務は当時を振り返る。

   バイラルマーケティングということで、注目したのがYouTubeやPya!といった動画投稿サイトだった。中でも、大きな反響があったのはPya!で、投稿初日にもかかわらず、「過去30日間の人気作品ランキング」で1位という評価を受けた。

   「口コミ」の効果に加え、宣伝担当の金井さんも一人で日本中を駆け回った。『ゆうきのうた』を広めるべく、TV局、ラジオ局、CDショップへと地道に営業を続けた。自腹でネットカフェに泊まり歩きながら、全都道府県を回ってPRした。

「ありがとう」や「ごめん」が素直に言える子に……

   そんな苦労もあって、徐々に広まっていった『ゆうきのうた』。その歌詞にはこんな言葉がある。

「大人も子供もみんなみんな 今すぐ『ゴメン』って言えるといいな」
「呼吸するように頑張らないように できる限りをやればいいんだ」

   この『ゆうきのうた』は、めぐーだが「娘にも歌える曲を」ということで作った歌。そこには、母親から娘への想いが込められている。

「勉強や運動が苦手でもいいから、『ありがとう』や『ごめん』が素直に言える子になってほしい。ちょっと勇気はいるかもしれないけど、という思いがこめられています」(オルネシオレコード・金井専務)

   エイベックスからCDが発売されたことで、今後はメディアにも出演したいと意気込んでいる「でんしれんぢ」。ただ、ボーカルのすずーだはまだ13歳なので、土日や長期休暇を利用したものになりそうだ。

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