「覗き見マップ」グーグルはプライバシー無視の暴走企業か

   2008年8月5日、Googleマップの日本地図に追加された新機能「Street View(ストリートビュー)」が話題だ。J-CASTニュースでも取り上げているが、これはGoogleマップ上で、東京など主要12都市の主な公道上で撮影された、360度に近い画像を見られるもの。

   便利な機能であることは言うまでもないが、このカメラは人間の私的な生活――道ばたで抱き合う男女や、家の庭の様子、外に干した洗濯物など――もすべて遠慮なく被写体として収め、それをGoogle(グーグル)が断りもなく公開しているのだ。

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グーグルにつきまとう「プライバシー問題」


グーグル株式会社が入居するセルリアンタワーのストリートビュー

   プライバシーの問題は、古くからグーグルにつきまとっている。イギリスのプライバシー保護機関の調査では、「Googleは『プライバシーに反する』企業であり、プライバシーの問題では20数件の主要ウェブサイト中最も評価が低い」のだという。

   グーグルで検索すれば、検索精度向上のためといった理由で、その履歴は保存される。フリーメールの「Gmail」では、その人の興味に合致した広告を提供するために、メールの文章をスキャンして物議を醸した。直接個人を特定できる情報ではないし、グーグルの素晴らしい技術を向上させるのにささやかな貢献ができるのだとわかっていても、決して良い気分ではない。

   地球上の空撮映像を地球儀のようにして見られるソフト「Google Earth」が公開されたのは05年のことだが、国の機密施設や有名人の広大な家の構造が丸わかりで、セキュリティ上危険だと騒がれた。それでも、まだ空の上の牧歌的な時代であった。

「公道で撮影したものは公開可能」という言い分


不適切な画像があれば、グーグルに報告することができる(ストリートビューヘルプ→不適切な画像を報告するをクリックして出てくる画面)

   これがストリートビューの大量画像となれば、まさにストリートレベルで深刻な事態を引き起こす可能性がある。07年に公開されたアメリカでも反応は喧しく、オーストラリアの新聞は「覗き見マップ機能」だと批判した。

   少なくない抗議の声を聞いても、グーグルのストリートビューについての見解に変わりはないらしい。Googleマップ日本版の担当者は、人の顔などはモザイクで隠すが、「法律的に検討した結果、公道から撮影したものであれば、基本的には公開して構わない」と説明している。

   しかし、アメリカで起きた訴訟では、自分の家を「私道上」で撮影、公開されたことを原告側は問題にしたようである。次々に発掘されるストリートビュー上の話題の画像を見ると、膨大な写真のプライバシーや、撮影場所が間違いなく公道上なのかといった点を、グーグルがどれほど入念に気を配り、チェックしているのか――少なからず心配になってくる。

社会性の欠如を感じさせる「ギーク集団」

   斬新な技術を追求し、ユーザーに驚きを提供するグーグルという企業は、社会性の欠如を感じさせるギーク的な側面もつねに見せてきた。その点は昔から良くも悪くも変わっていず、筆者の考えでは、問題はあるが「有害」のだいぶん手前の段階のように思える。誰しも完璧ではないのだ。

   しかし、放っておけば、この集団は見境なく暴走し、個人のプライバシーとそれを重視する社会にとって、極めて危険なマッドサイエンティストとなる(いやすでになっている!?)のではないか――と警鐘を鳴らす人たちもある。

   グーグルは危険なのか、今後どうなっていくのか、筆者ごときにはさっぱり予測がつかない。ただし、少なくとも、目を離さないほうがよさそうだ。ただ今もっとも議論を呼ぶStreet Viewよりも、さらに革新的で便利で、プライバシーとの兼ね合いが問われるサービスを、近い将来、彼らが社会に突きつけてくることは、さもありそうなことである。

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