【NY発】「MAD」はとっても「GOOD」 変貌を遂げる現代美術館

   「MADに行こうよ!」友達から連絡あり。

   マッド!?い、いったいそれは何ですか?何をする所?と、一瞬あせりましたが、MADはMuseum of Arts and Designの略、ニューヨーカーはこの美術館を略してこう呼ぶんです。

   セントラルパークの南西、コロンバスサークルに面して建つEdward Durrell Stoneのビルを大改装して、2008年9月に再オープンしたこの美術館は、館名にあるように、工芸品、建築、ファッション、陶芸、ジュエリー、インテリアデザインにまで及ぶ広い範囲のコレクションをもち、聞くところによると平面は展示しないんだそう。平面なし!?これだけでも面白そう。

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「Dead or Alive」展を開催中


MADの目の前にはクリストファー・コロンブスの銅像、タイムワーナーセンターもすぐ脇に



うず高く積み上げられたネズミの頭蓋骨、馬の毛でおおわれた作品などなど一見の価値あり(Dead or Alive展から)

   4月27日から始まった新しいショーは「Dead or Alive」展。動物の骨、昆虫、鳥の羽根、植物など、自然の素材を使った30人のアーティストの作品が集められています。

   火曜日から日曜までは11時30分と午後3時の2回、加えて木曜日は午後6時にもある無料ツアーに参加してみました。週日の午前中だというのに、あっという間に20人ほどが集まり、案内人に従って各階を見てまわります。

   アクリル板に描かれた墨絵?と思いきや、解説員に促されてアクリル板の後ろをみると植物を貼り付けて描きライトアップした作品。蚕の繭で作ったランプ。牛の骨をフレームにしたバイクの横では、それに実際乗っている映像もモニターで流されています。コヨーテなど動物の骨を使って作られた花が絵のようにアレンジされているし、展示室の中に立てられた壁紙についたのぞき窓から中を見ると、中には小さなお家あり、しかし、よく見ると、それは虫で作られています。タンポポの冠毛のついた種子をひと花分くっつけたライトなど、まさにびっくりの連続。お客さんも眉根にしわを寄せてうんちくを語る人は皆無、「うぁ~すごいね。気持ち悪い!」とか素直に反応しています。

予約殺到の人気レストランも


9階のロバートの店内



バジルオイル、ホースラデッシュなど3種のソースでいただくカリッと焼き上げたサーモン

   この美術館の9階にはセントラルパークやコロンバスサークル、ブロードウェイが見おろせるレストラン「ロバート」があり、1階から直接食事に行けます。

   階下の美術品に負けないようデザインされた店内には、ウラディミール・ケイガンの椅子や、サンフランシスコ在住の建築家ジョアンナ・グラウンダーのLEDを使ったライトなどで、まとめられ、窓際は予約したお客さんでいっぱい。

   そしてメニューは、専門の職人によって毎日打たれるフレッシュパスタ、調味料を加えたブランディでマリネし塩で絞め、1週間コールドドライする地元ハドソンバレー産フォアグラ、オリーブオイルでポーチしたオヒョウ、バークシャーポークを使ったポークチョップなど、ちまたのハイエンドレストランと同じ高いレベル。アフタヌーンティーもあって、地元の住人にもファンが増えてきています。

   ニューヨークでは、数年前にメトロポリタン美術館、MoMAのダイニングが新しくなり、館内にミシュランの星を持つようなレストランも開店しましたが、去年から今年にかけ、その第2波がやってきています。MADのロバート、グッゲンハイムのライト、そしてホィットニー美術館にも有名レストランを数々翼下に持つダニー・マイヤーのカフェが新しく入る予定で準備が進められています。

   黙っていても人が集まる美術館、カフェのグレードを上げてビジネスに結びつけ、収益を上げています。

坂本真理

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