天才ピアニストの「指」に隠された衝撃ミステリー


生誕200周年、悲劇の天才作曲家シューマンに捧げる本格音楽ミステリー

   1994年に『石の来歴』で芥川賞を受賞した奥泉光氏は現在、近畿大学国際人文科学研究所の教授をしているが、ジャズバンドでフルート奏者としてセッションするなど、多趣味というた多才な人物だ。著書も、ミステリーやSF、幻想文学、歴史小説とジャンルにとらわれることなく発表している。そんな奥泉氏の最新作『シューマンの指』(講談社、2010年7月23日発売)は、同氏の音楽に対する造詣の深さが土台にあるのはいうまでもない。

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   同作品は、シューマンに取りつかれた天才美少年ピアニスト・永峯修人と、永峯にあこがれる主人公「私」を軸に繰り広げられるミステリーである。2人の高校時代に起きた女生徒殺人事件、修人が大事な指を切断するという大ケガ・・・不幸な出来事は、30年あまりを経て、一つの線で結ばれる。指再生手術や「修人」という名の意味など、衝撃の結末は圧巻の一語だ。

   単行本、322ページ。定価1680円。

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