清水寺「中島潔の襖絵」が初の全国巡回展

   NHKの番組「みんなのうた」のイメージ画に代表される繊細な童画で知られる日本画家、中島潔氏が清水寺の塔頭(たっちゅう)、成就院に奉納した襖(ふすま)絵46点が、2011年3月16日から28日まで、松屋銀座(東京・中央区)で公開される。

   「京都清水寺成就院襖絵奉納記念 風の画家40年の軌跡 中島 潔展」と題し、襖絵と40年にわたる代表作合わせ約100点を展示、NHK文化センターが主催し、清水寺の特別協力を得て実現。成就院の襖絵が京都清水寺の外で公開されるのは初めてのことだ。

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「あの襖絵を見たい」との問い合わせ多数


中島氏が描いた成就院の襖絵(撮影:白谷達也)

   京都の寺院の襖絵といえば、桃山時代に全盛を誇った狩野派の作品が多くを占める。一方で、現代作家が描く襖絵が静かなブームとなっており、智積院には田渕俊夫氏が、大徳寺には千住博氏が、天龍寺には田村能里子氏が、それぞれ作品を収めている。

   中島氏の襖絵は、制作の模様がNHKのドキュメンタリー番組「クローズアップ現代」や「ヒューマンドキュメンタリー」に取り上げられたことで話題になった。成就院に奉納された襖絵は、これまで2度公開されたが、それ以外の期間は基本的に取り外されていて、成就院での再公開予定は今のところ決まっていない。そのため、清水寺には連日のように「あの襖絵を見たい」という問い合わせが来ており、そうした声に応えるべく、今回の全国巡回展開催が決まった。

東京、福岡、長野など全国6か所で

   中島さんは母の死をきっかけに18歳でふるさと佐賀を飛び出し、温泉堀りや印刷所、広告会社などで働きながら独学で絵を描き続けてきた。28歳のときパリに渡り、画家になる決心をしてから40年になる。5年をかけて描き、2010年春、清水寺成就院に奉納した襖絵はその集大成といえる。

   作品は3部構成で、「かぐや姫」では、別れは幸せの出発点であることを、「風の故郷」では子どもたちへの優しさと自然の怖さを描き、金子みすゞの詩をモチーフにした「大漁」では数万の鰯(いわし)の群れの一瞬を切り取り、命の凄み、美しさを表現している。「私の襖絵を後世の人が見て、昭和、平成に生きた人々がどんなことを考え、願っていたのかを感じてくれたらいいですね」と中島さんは語る。

   清水寺成就院の襖絵は東京のほか、2011年中に佐賀(佐賀県立美術館:4月9日~5月8日)と福島(福島県文化センター:8月13日~9月19日)で、2012には山形(山形美術館:4月12日~5月13日)、長野(水野美術館:8月4日~9月9日)、福岡(福岡アジア美術館:10月10日~11月25日)で順次公開される。

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