家電量販店が嬉しい悲鳴 春なのに「扇風機」売れまくり

   夏場の電力不足にそなえ、節電志向が高まっている中で、扇風機が飛ぶように売れている。

   日本電機工業会(JEMA)が2011年5月25日に発表した、白物家電の4月の国内出荷額は前の年の同じ月と比べて、19.7%のプラスで、2か月ぶりの増加だ。ルームエアコン、電気冷蔵庫、電気洗濯機など主要製品が伸びている中、とりわけ目立ったのが扇風機の伸び。販売台数は前年比で2.4倍の約45万台だった。

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デザイン重視で選ぶ人も


扇風機の購入を検討する人の姿が(ビックカメラ有楽町店店頭で)

   ビックカメラ有楽町店(東京・千代田区)の店頭前スペースには現在、およそ70台の扇風機が並び、購入を検討する顧客であふれかえっていた。

   売り場担当者によると、売れ筋は1万円弱ぐらいのもので、リモコンやタイマー付き、首の高さを調節できるタイプだという。オフィス街という場所柄か、USBタイプやクリップ型の扇風機はサラリーマンを中心に人気がある。また、消費電力が少ないタイプやデザインが優れた扇風機にも注目が集まる。これらは1万円を超える高額商品だが、例年になく売れており、デザインの優れた扇風機をアパレル店で使いたいと買っていったケースもあるという。

   ビックカメラ広報によると、扇風機は今年4月から前倒しで店頭に置き始めたそうだ。販売台数については、日によっても異なるが、5月の販売数は前年の3~5倍。扇風機はふつう、気温の高い日によく売れるが、今年に限っては気温の低い日でも売れているのが珍しいという。「夏場の電力不足や、あるいは計画停電への不安感があり、できることを前倒しでやっている印象がある」と広報担当者は話す。

   家電量販店チェーン・ヤマダ電機でも、5月の扇風機の販売台数は前年比600%(5月26日現在)と伸びている。春先では異例の売れ行きで、全国的によく売れているが、東日本の購入者の方がやや多いらしい。広報担当者は「(エアコンに代えて)リビングで使いたいとうことで、デザイン重視で選ぶ人が多いようです。購入前は顧客からの質問も当然多い。エアコンとの併用による使い方を説明させていただいています」。

古い扇風機には注意

   資源エネルギー庁では、夏場の電力供給の落ち込みにそなえて、7~9月の平日9時~20時、電力使用を15%削減することを目標としている(5月13日発表)。夏場のエアコンを28度設定にすると、削減消費電力は130W、エアコンを消して扇風機を使うと削減消費電力は600Wになる計算だが、エアコンの控えすぎによる熱中症には注意したい。

   一方で、扇風機需要が高まっている中、製品評価技術基盤機構(NITE)は、扇風機による火災事故の注意を呼びかけている。同機構の製品安全センターでは、2005年から2009年の5年間で、扇風機が関係する事故を157件確認した。このうち74件は、長期間の使用によって起きた、製品の経年劣化が原因だという。

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