沖縄と本土、理解は進んだのか 米軍基地めぐる「差別」は今も

   本土復帰から40年。沖縄はリゾート地として若者に人気だが、依然として日本の防衛を担う基地の街である。基地が減らないのは「差別」という見方も根強い。沖縄と本土。互いの理解は進んだのか。J-CASTニュースの新書籍サイト「BOOKウォッチ」(https://books.j-cast.com/)でも特集記事を公開中.。

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度胸と才覚で大金を稼いだ女傑の一代記


『ナツコ 沖縄密貿易の女王』

   時代は終戦直後、舞台は日本最西端の与那国島。この小さな島が全島あげて密貿易に狂奔するというという異様な一時期があった。そこに、多くの男たちを使い密貿易の女王として君臨した1人の女性がいた。文藝春秋の文春文庫『ナツコ 沖縄密貿易の女王』(著・奥野修司、790円)は、「ナツコ」と呼ばれた女傑の一代記である。

   昨日まで敵国であったアメリカ軍の基地から盗み出した衣類やタバコ、ガソリンなど様々な物資を台湾や香港に運び、代わりに米や砂糖や茶を持ち帰り、莫大な利益を上げることができたのだ。ナツコは38歳でこの世を去るが、著者の12年に及ぶ粘り強い取材によって生き生きと甦った。本土復帰前の沖縄の解放の一瞬を照らし出すノンフィクション。

抱腹絶倒のディープな「ウチナ―白書」


『沖縄学 ウチナーンチュ丸裸』

   沖縄についてよく聞く言葉がある。おおらかというか、いい加減というか、時間にもこだわらない「テーゲー主義」。5分歩くのもイヤという「なんぎー文化」。台風で屋根が飛んでも落ち込まない「ナンクル気質」。新潮文庫の『沖縄学 ウチナーンチュ丸裸』(著・仲村清司、540円)は、そんな「沖縄カルチャー」を様々な角度から分析した抱腹絶倒のウチナー白書という触れ込みだ。言ってみれば、肩のこらない沖縄概論。

   著者は大阪市生まれの沖縄人2世。本書をはじめディープな沖縄紹介に努めているが、子どものころは沖縄出身者は差別と偏見の目で見られていたと告白している。両親は沖縄出身であることを隠し、子どもにも「あんたの故郷は大阪やで」と何度もいって聞かせた。そんな体験を背景に持つ、ひねりの利いた「報復絶倒」の沖縄紹介である。

アメリカは本当に日本を守ってくれるのか


『日米同盟崩壊 もう米軍は日本を中国から守らない』

   「日米同盟は最長でも2050年で終わる」。集英社の『日米同盟崩壊 もう米軍は日本を中国から守らない』(著・飯柴智亮、1260円)は、ショッキングな見通しで今後の日米関係に警鐘を鳴らす。多くの日本人は「最後はアメリカが守ってくれる」と信じているが、それは本当か、と厳しく問いかける。著者は東京生まれの元アメリカ陸軍大尉。映画「ランボー」にあこがれ19歳で渡米、1999年に永住権を得て入隊したという経歴の持ち主だ。

   沖縄には今も米軍基地の74%が集中している。普天間を始めとする基地の負担軽減と早期返還は沖縄の悲願だ。しかし本書は、米軍が沖縄、次いで日本列島から撤退すれば最悪のケースとして、中国は沖縄に進出、日本は中国の属国になる可能性があると説く。安全保障からみた沖縄基地論だ。

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