将棋で「脳」鍛えビジネスに勝利する 人間力でコンピュータを跳ね返せ

   夏になると、子どもの頃の縁台将棋を思い出す。「待った!」「待ったなし!」とけんかになって終わる他愛ないものだったが、最近はコンピュータと人間が真剣勝負の火花を散らし、一流のプロ棋士が負けたと話題になった。将棋という奥深いゲームをめぐる、この頭脳対決はどう決着するのだろうか。

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ひらめきや勝負勘を育てる将棋的思考法


『将棋脳 これであなたの脳はよみがえる』

『将棋脳 これであなたの脳はよみがえる』

   将棋を見ていて感心するのは、棋士たちの記憶力の凄さだ。勝負が終わると、もう一度初めに戻って駒を並べ始める。いま決した勝負の再現だ。それが淀みなく進むのが、いつも不思議だった。何手も先を読むのも素人にはとても真似ができない。いったい幾通りの「ああいく、こういく」「こういく、ああいく」があるのか。サンマーク出版の『将棋脳 これであなたの脳はよみがえる』(著・中原誠、1365円)は、そんな棋士の頭の中を垣間見せてくれる。

   永世十段の著者は「攻めるときは攻め、受けるべきときは受ける」という自然流の棋風で頂点に登りつめた。脳を活性化し、ひらめきや勝負勘を育てる将棋的思考法を教育やビジネスに役立てることはできないか。将棋を知らない人にも参考になる1冊だ。

歴代名人の知られざる人間ドラマ


『将棋名人血風録 ――奇人・変人・超人』

『将棋名人血風録 ――奇人・変人・超人』

   昨年(2012年)は将棋の名人が誕生して400年という節目の年だった。角川書店(角川グループパブリッシング)の『将棋名人血風録 ――奇人・変人・超人』(著・加藤一二三、780円)は、歴代名人の知られざる一面や名人戦をめぐるドラマを綴る。

   昭和の大ヒット曲「王将」は阪田三吉を歌ったものだが、将棋の世界には「奇人・変人・超人」と呼ばれる人が多いのも事実だ。「神武以来の天才」と称された著者だって、「変人名人」として数々の逸話を残している。登場するのは、木村義雄から大山康晴、升田幸三、中原誠、谷川浩司、森内俊之、羽生善治――。将棋ファンにはこたえられない天才勝負師たちの人間味あふれる闘いが繰り広げられる。

2人の天才が語る「真似する勇気持て」


『勉強の仕方』

『勉強の仕方』

   いまのようなゲーム機がなかった頃、子どもたちは「頭がよくなる」といわれて将棋の駒を並べて遊んだ。将棋の強い子どもは頭がいいと一目置かれたものだ。祥伝社黄金文庫の『勉強の仕方』(著・米長邦雄、羽生善治、Kindle価格400円)は、将棋の頂点を極めた2人の天才によって書かれた勉強法である。われら凡才にどこまで役立つかどうか心配もあったが、「まず、真似をする勇気を持て」と呼びかける。

   ベストの勉強法は常に変化するといい、20歳には20歳の、40歳には40歳の勉強法があると説く。伸びる人間と伸びない人間のどこに差があるのか。過去を忘れるかどうかがポイントだという。著者2人には30歳近い年齢差があるが、知的向上心を刺激する清々しい対話が展開されている。

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