「世界遺産」富士山の魅力にハマる本 見て、知って、登って楽しむ

   「富士には、月見草がよく似合ふ」といったのは太宰治だが、世界遺産となった富士山には、何が似会うのか。早くもこの夏、押しかける登山客で例年にない賑わいとなっている。なんといっても、日本一の山だ。一度は登ってみたい。だが、事故や環境破壊の心配もある。富士山を本当に楽しむためには―――。

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奇跡的に撮った富士の真っ赤な雲龍


『レッドドラゴン』

『レッドドラゴン』

   映画や小説でお馴染の「レッド・ドラゴン」ではない。小学館の『レッドドラゴン』(著・宮澤正明、2625円)は、人気写真家による富士山のふもとに浮かび上がった龍の姿をした真っ赤な雲、つまり、赤い雲龍「レッドドラゴン」の写真集である。雲龍とは雲に乗って昇天する龍のことで、それを描いた絵や図もそう呼ぶ。

   いつでも現れるのもではない。雲や光など微妙な気象条件が一致して初めて起きる自然現象で、写真に収められるのは奇跡に近い。ある冬の日、突然ひらめいて急遽出掛けて幸運にもその場面に遭遇、我を忘れるように撮った写真だという。それを飾ったところ、運気が上昇したという話が伝わるなど、美しいだけでなく不思議なパワーを持っていると話題になった。富士の神秘的な姿を捉えた写真集だ。

奥深く裾野の広い信仰文化を考える


『富士山文化 ――その信仰遺跡を歩く』

『富士山文化 ――その信仰遺跡を歩く』

   富士山は、単なる観光地ではないし、単なる登山の山でもない。「霊峰富士」というように古来、信仰の山で、日本の山岳信仰の代表といわれる。祥伝社新書の『富士山文化 ――その信仰遺跡を歩く』(著・竹谷靭負、882円)は、富士山学の第一人者が信仰の遺跡を通して富士山文化を解説した本格的参拝ガイドである。

   富士山は三保の松原を含め「信仰の対象と芸術の源泉」として評価され、世界文化遺産に登録されたわけが、登録されなかった信仰遺跡もある。関東一円に残っている富士塚は、誰でも富士参拝ができるようにと地元につくられた富士山のミニチュアだが、ひとつも含まれなかった。この機会に、身近な遺跡を手掛かりに奥深く裾野の広い富士山の信仰文化について考えてみるのも興味深い。

エコツーリズムと富士山の未来


『ぼくの仕事場は富士山です』

『ぼくの仕事場は富士山です』

   講談社からの『ぼくの仕事場は富士山です』(著・近藤光一、1260円)は、自分の仕事場というだけあって、著者の富士登山歴は500回にも及ぶ。富士のふもとの山梨県富士吉田市出身のプロの富士登山案内人だが、子どものころは山登りに興味がなく、はじめて富士山に登ったのは30歳を過ぎていた。そんな著者を夢中にさせた富士山の魅力とは。同時にこの素晴らしい富士山を守って行くために必要なこととは。

   登山者の増加ともに富士山の環境破壊が問題になっているが、著者は早くからエコツーリズムに取り組み、富士山にまつわる地域文化の掘り起こしや自然環境のモニタリング調査に携わってきた。2010年には第5回エコツーリズム大賞優秀賞を受賞している。世界遺産となった富士山のこれからを考えるうえで参考にしたい1冊だ。

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