ミクチャはギャルの非リアな「渋谷」 若者がループ動画にハマるわけ

   中高生を中心に人気を集めている6秒動画アプリ「Vine(ヴァイン)」。

   6秒という限られた動画の時間内で、ジャンルを問わず様々な動画が投稿される同アプリは、サービススタートとともに注目を集め、若者なら誰もが知っている「けみお」や「大関れいか」などを一躍有名にしたほど。

   また後を追うように、ここ最近急激に人気を集めているのが「ミックスチャンネル」です。

Underbairのミックスチャンネルより
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6秒動画アプリ「Vine」 10秒の「ミックスチャンネル」

   「ミックスチャンネル」とは、手持ちの写真・動画・音声を組み合わせ、多様な動画コンテンツを作成出来ることで人気を博している、10秒動画アプリ。2013年12月のリリースからわずか1年間で、月間動画再生数は4億1000万回を突破し、現代の女子中高生が最強に熱狂するアプリとも言われています。

   そして最近では『ラッスンゴレライ』『あったかいんだから~』『ダンソン』といったリズムネタがブームになっていますが、女子中高生の間ではこれらの動画が世間で話題になる前から、彼らのリズムネタをコピーして、自分達バージョンの動画をミックスチャンネルで公開するのがブームになっていたほどです。

   このところ人気を呼んでいるのが、高校生2人組・Underbair(アンダーベア)が送る『それ全然わかんない 意味が伝達してこない 君が僕の隣にいないこと I can't forget you』といった歌詞とともに独特なテンポに合わせて踊るリズムネタです。

   彼らの動画は、同アプリで公開されるとともに、たちまちフィーバー。

   どこか癖になるテンポが中毒になると一気に浸透し、それをコピーして公開する女子中高生が続々と現れ、ミックスチャンネラーの中では一種のブームになったほどです。

   ではなぜここまでして若者は動画を公開することに魅力を感じているのでしょうか。

   前段が長くはなりましたが、今回は若者達が考える動画の魅力について紐解いていこうと思っています。

かつてはリアで、現代は非リアで...かなえたい「目立ちたい」

   まず、考えられることとしては昔から変わらない若者の根源的欲求『目立ちたい』といった思いがあることです。

   アプリやSNSといったネットが普及していない時代には、リアルなストリートで目立ちたいと思う若者が多く、それを叶えるために若者は渋谷という街に集まっていました。

   端から見たら一見、『えっ?』と思うことであってもいかに目立てるのかを考え、例えば、センター街(現バスケットボールストリート、通称バスケ通り)で座って喋ったり、パラパラを踊ったりとしていたほどです。

   ただここ数年においてこれらのアプリやSNSが普及したことにより、彼達・彼女達はリアルな「渋谷」ではなく、ネット上において若者が密集する「渋谷」に集合するようになりました。

   言い換えれば、昔と場所は違えど、その時の若者と同じように、現代の若者も『目立ちたい』『人気者になりたい』といった精神を持ち続けているのです。

   次に考えられるのは、ファストファッションブームやプチプラコスメ、また分からないことはネットで調べるといったライフスタイルが定着したことで、自分達の持ち物や生活において極力浪費したがらないことが挙げられます。

   つまり、自分達のライフスタイルにおいて、どうやってお金を使わず楽しめるか、満足出来るかが重要なのです。

   その点、動画アプリなら無駄なお金を出費することがないのはもちろん、その「渋谷」にいる人達と一緒に楽しむことが出来、はたまたそこから人気者となれるといった可能性も秘めているのです。

   彗星のごとく現れるスターとなれる可能性があるのならば、それに対し、熱心の取り組み、楽しむことが出来ますよね。

ストリートからネットへ舞台が大型化、高まる演じる意欲

   また、昔の若者がストリートの「渋谷」に集まっていたこともそうですが、そもそもどの世代においてもクラスには人気者がいたかと思います。

   その人気者のように、『目立ちたい』という思いは過去も現在も変わることはなく、唯一、表現する場所=ホームだけが変化を遂げたと言えるのではないでしょうか。

   それに伴い、そのホームに行き来するクラスメイトが巨大化し、尋常ではないほどの迅速なレスポンスがあることで、『もっと動画をアップしたい!』といった気持ちにも駆られるのだと思います。

   大人世代にとっては、動画をネットにアップするといった行為自体、抵抗を感じる人も多いと思いますが、『目立ちたい』『楽しみたい』『笑わせたい』『繋がっていたい』といった思いが、小規模な学校のクラスから、大規模な世界へ繋がるネットへ変化しただけ...と思えば、若者の気持ちも少なからず理解出来るのではないでしょうか。

   みなさんが10代だった時も、友人と楽しんだり、思いを共有することに対し、一番の喜びを感じていたでしょう。

   その時をいかに楽しむかを考えていたように、最近の若者もこういった思いがあることで、自身の「今」を抵抗なく、ネット上に曝け出せるのだと思います。

   この間にも数え切れないほどの「動画」がアップされている、現在...。

   ただ、今も昔も若者達の「思い」は変わることはなく、「遊び方」「楽しみ方」だけが変化を遂げていったと考えると、私達もこの時代に育っていたならば、きっと彼達・彼女達のように「今」をどれだけ楽しんでいるかを動画で表現していたと言えるのではないでしょうか。

   たかが動画、されど動画と言えど、彼女達の「今」が分かる動画には、無限の可能性が秘められていると言っても過言ではないのかもしれません。

grp編集長・安部舞紗

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