不思議な日本のサラリーマン 「シェフ社畜」も「下積み」も

   サクラとともにフレッシュマンの姿がまぶしい季節だ。入社式を終えたばかりのサラリーマンたちにとってこれから長い会社生活が始まる。まずは仕事を覚えることだ。でも、それだけではない。社会人として知らなければならないマナーやルールが沢山ある。日本のサラリーマンは実は不思議な生物なのだ。

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サラリーマン生態図鑑
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なぜ電話のカタチを作るのか

   日本の労働人口の大半がサラリーマンだ。毎日、いつものように出勤し、仕事をし、夜は夜で同僚たちと酒を飲む。その生態を改めて観察してみると、変なところがある。たとえば、「電話してください」と言いながら、親指と小指を立てて電話のカタチを作って耳に当てるポーズをとる。人の前を通るときは手刀を切って頭を下げて通り抜ける。なるほど、いわれてみれば、笑ってしまう。

   『サラリーマン生態図鑑』(著・アコナイトレコード、大和書房、1404円)は、こんなサラリーマンという不思議な生物を研究したものだ。「基礎編」「仕事編」「掟とルール編」「時間外編」と、身だしなみからアポをとること、ホウ・レン・ソウ(報連相)の掟、宴会や愚痴までサラリーマン百科の図鑑だ。そのうえ「サラリーマンの習性 これだけは覚えておきたい四十八手」もあり、会釈、おじぎ、最敬礼、もみ手、手のひら返しなどサラリーマンの表と裏を教えてくれる。

   著者の「アコナイトレコード」とは、「どうでもいいことや無駄なことのなかに面白さを追求する謎の企画集団」というが、新入社員にとって必携の1冊だ。

スティーブ・ジョブズも下積みだった

   日本のサラリーマンは学校を卒業して就職すると、定年まで同じ会社で働いた。ヒラから係長、課長、部長と昇進し、それに従って給料も上がり、退職金が最後のご褒美だった。「サラリーマンは気楽な稼業ときたもんだ」なんていう歌が流行っていたころだ。だが、バブル崩壊とともに様子が変わった。能力主義や成果主義が出てきて、非正規社員が増え、格差も広がった。いまのサラリーマン、どう生きていけばいいのか。

   『サラリーマンの新しい掟 下積みは、あなたを裏切らない!』(マガジンハウス、1296円)は、ネットのオピニオンリーダーとして知られる働き方評論家、常見陽平さんの最新作だ。

   「下積み」とは古風な言葉だが、古今東西「学問に王道なし」というように、仕事にも王道はない。スティーブ・ジョブズも「下積み人」だった。常見さん自身も就職氷河期をくぐり、残業、休日出勤、転勤、出向、転職と様々な経験をした。それらをもとにした若手ビジネスマン向けの新しい仕事論である。新日本プロレス・棚橋弘至選手との対談もある。

自炊のきっかけは失恋

   「社畜」という言葉はいつごろから使われるようになったのか。家畜のように会社に飼い慣らされたサラリーマンを揶揄した造語だ。社畜と朝ごはん、何か関係があるのだろうか。

   『社畜のはりきり朝ごはん』(著・ジュンイチ、セブン&アイ出版、1512円)のキャッチコピーは「全力商社マン(28歳)の型破りな料理ブログから生まれた爆笑必死の食エッセイ!」とある。激務に追われる自称社畜のサラリーンマンが、失恋をきっかけに自炊を始めたら楽しくなって「シェフ社畜」としてブログに綴ったところ、若者に人気を呼び新聞にも紹介された。なかなかのアイデアマンで「イワシの炊き込みごはんが大好き!」「秒速でカルボナーラ作ったら一つになった」「気がつくと豚を炊飯器で煮ちゃう」といったユニークな調理が並んでいる。

   ジュンイチさんは宮崎県生まれで東大卒後、大手商社に入社したが、新たな事業を目指し退職したという。「社畜」から脱皮するのだろうか。

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