パラグラフジャンプも一瞬で 国産ゲームブックの最高峰「ドルアーガの塔」電子書籍で登場

   電子書籍専門の制作会社幻想迷宮書店は、2016年3月1日から名作ゲームブックの配信を始めた。プラットフォームはアマゾンのKindle(キンドル)ストア

   「ドルアーガの塔」3部作シリーズが第1弾として配信される。「悪魔に魅せられし者」「魔宮の勇者たち」「魔界の滅亡」の3巻からなる同シリーズは、国産ゲームブックの最高傑作の呼び声も高い。原作は1984年にナムコ(現バンダイナムコエンターテインメント)から発表されたアーケードゲームで、ゲームブックはそれをモチーフにしたもの。86年に東京創元社から発売された。

「魔宮の勇者たち ドルアーガの塔」イメージイラスト
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そもそも「ゲームブック」って何?

   ゲームブックとは、読者の選択によってストーリーの展開と結末が変わるように作られた読み物だ。パラグラフ(段落)に番号が割り振られ、ある場面まで読み進むと、読者は離れたパラグラフにジャンプするよう指示される。また別の場面では複数の番号の中からどれか1つを選ぶよう指示される。こうしてストーリーは多様に変化する。

   読者は本の形式でロールプレイングゲームやアドベンチャーゲームを楽しむことができる。作品によってパズル要素が濃かったり、キャラクターの育成を楽しむことに重点を置かれていたり、あっと驚くストーリー展開だったり――。さまざまなタイプのゲームブックが存在する。

   ゲームブックの火付け役となった一冊は、82年にイギリスで発表された「The Warlock of Firetop Mountain(火吹山の魔法使い)」だ。日本語版は84年に社会思想社から発売され、ベストセラーとなった。コンピュータゲームの隆盛と入れ替わるかのようにブームは過ぎ去ったものの、いまでも根強いファンがいる。

価格は単行本の半額以下!

   ドルアーガの塔は、60階の塔をのぼりながら、数々の宝を集めつつ、最愛の恋人を救いにいくというストーリーだ。第1巻は1~20階、第2巻は21~40階、第3巻は41~60階がそれぞれ記されている。

   ゲームブック版が原作と一線を画していたのは、マッピングをすることで塔内の全フロアの見取図が描けること、そして個性豊かなオリジナルキャラクターたちが登場することだ。全3巻でパラグラフ数は1700以上もあるが、最後まで読み飽きない工夫が随所に盛り込まれている。

   予定本体価格は「悪魔に魅せられし者」と「魔宮の勇者たち」が各400円、「魔界の滅亡」が500円。紙の単行本と比べて半額以下に設定されている。

   幻想迷宮書店では「ドルアーガの塔」シリーズを皮切りに、「展覧会の絵」「魔人竜生誕」「送り雛は瑠璃色の」など、多くのタイトルの配信を予定している。

実際に遊んでみたら...単行本よりもずっと快適だった!

   幻想迷宮書店からサンプルデータをいただいたので編集部で実際に試してみた。電子書籍のゲームブックが紙のそれと決定的に違うところがリンクの概念だろう。離れたパラグラフにジャンプするときに紙の本なら、ぱらぱらとめくって移動するが、電子書籍はそうはいかない。電子書籍リーダーとは1ページずつめくって読むことを前提に造られていて、ゲームブックのように何十ページも離れたところにジャンプすることは想定されていないからだ。1ページずつめくってその場所まで移動していたら日が暮れてしまう。

   そこを補うための電子書籍版のオリジナルの機能として、ウェブページのハイパーリンクのように飛び先として書かれたパラグラフ番号をタップすることで、その番号が書かれたページに瞬時に移動するように作られている。これはもしかすると、紙よりもはるかに遊びやすいのではないか? 少なくとも番号を見間違えて、違うパラグラフにいったりすることはないし、しおりをはさみ忘れて読んでいた箇所が分からなくなってしまうような事故もない。

 

   約30年前に流行したゲームブックは、電子書籍に相性ピッタリの読み物だった。今回の「ドルアーガの塔」3部作シリーズ発売で人気再燃となるか――。

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