国も危惧する日本人の低栄養 食事メニューの工夫と「栄養調整食品」で健康長寿を目指せ

   敬老の日の2016年9月19日、東京都新宿区にある江上料理学院で「第1回 高齢者のための低栄養予防料理教室」が開催された。参加者は15人で、内訳は男性が5人、女性が10人、年齢は40代~80代と幅広い世代が集まった。管理栄養士の吉野愛先生が提案する家庭料理を実際に作りながら、しっかり栄養を摂ることの必要性について学んだ。

「第1回 高齢者のための低栄養予防料理教室」の様子
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高齢者こそ粗食しないでしっかり食べるべき

   飽食の時代といわれて久しい日本。しかし日本人の摂取カロリーは年々減少している。これはダイエット志向の強い若い女性だけではない。年を重ねると食欲は減退し、あっさりした味のメニューを好むようになる。「粗食は健康にいい」と信じて実践する人もいる。厚生労働省の「平成26年国民健康・栄養調査」によると、80歳以上の約4~5人に1人が低栄養状態だ。高齢者のエネルギー不足はさまざまな悪影響を身体に及ぼす。免疫力や体力の低下、骨量の減少、そして認知機能の低下をもたらす。

   料理実習前の講義で吉野先生は、「低栄養予防の食事のすすめ」として次の3つを挙げた。

  1. 身体を元気に維持するために、エネルギーとなる糖質・脂質をしっかり摂りましょう
  2. しっかりと動き続けることのできる骨格筋を保つため、たんぱく質を摂りましょう
  3. ビタミン、ミネラル、食物繊維もバランスよく

   「食の進まない方でも食べられるように」と、吉野先生は以下の2品を紹介した。

   「鰤(ブリ)の照り焼き」は低栄養予防メニュー食。ブリは魚の中でも脂が多く、食べごたえがある。高たんぱく質、EPA、DHAも豊富に含む。ひじきと小松菜の胡麻和え、煮物、すまし汁、ごはんと一緒に食べることで、栄養を十分に摂れる。

   低栄養改善メニュー食の「お肉を使ったふわふわキッシュ」は、カフェメニューの定番で、牛乳とチーズを含み栄養は満点。たんぱく質が豊富な鶏胸肉とカルシウムたっぷりのほうれん草を加えることで、おいしさも栄養もさらにアップする。

   生徒は「お肉を使ったふわふわキッシュ」づくりに取り組む。最初に先生が手本を示し、続いて4つのチームに分かれて調理する。参加者の中にはベテラン主婦らしき人もチラホラ。60代の女性に尋ねると、次のように答えた。

「今まで独学でしたから、食材を柔らかくするコツとか知りませんでしたし、ソースの味もイマイチでした。それらがこの学院ではきちんと学べます。料理作法以外のことも教えてくれます。今日の『低栄養予防の食事のすすめ』もそうですね」

   調理開始から30分ほどで料理は完成した。オーブンから取り出されたキッシュはどのチームもまずまずの仕上がり。これなら初心者でも失敗することはなさそう。

バランスをとるのに便利な栄養補助食品

   オーブンでキッシュが焼き上がるまでの待ち時間、吉野先生は「食欲のないときは、栄養調整食品が便利です」と生徒たちにアドバイスして、複数の商品を紹介した。

   記者の目に留まったのが「明治メイバランスMiniカップ」。他の商品は紙パック型のところ、唯一のカップドリンク型だ。試飲してみたところ――飲むヨーグルトをさらに濃くした印象。この商品を取り上げた理由について、吉野先生に質問した。

「内容量が125mlで200kcal。これってすごいことなんです。たんぱく質が7.5gもあり、ビタミンD、カルシウム、鉄、亜鉛、食物繊維も含みます。これほどの成分が詰まっている食品はなかなかないです。味のレパートリーもあります。食事のときにプラスして飲むことで、栄養バランスがとれると思います」

   液状なので、歯がそろわない人や寝たきりの人にうってつけといえる。参加者のほとんどは栄養調整食品の存在すら知らなかったようだが、サンプルを手にとり、興味深げに飲んでいた。

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