草間彌生の大規模個展、2月22日から 「わが永遠の魂」シリーズ、一挙公開

   水玉やカボチャをイメージした作品でおなじみの現代アーティスト、草間彌生さんの過去最大規模の個展が2017年2月22日から東京・六本木の国立新美術館で開かれる。

   いちばんの見どころは、最新シリーズ「わが永遠の魂」が一挙に公開されること。合わせてこれまでの代表作なども並び、昨年、文化勲章を受章した草間さんの芸術世界をたっぷり味わうことができる展示となっている。

「ポートレート」©YAYOI KUSAMA
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万華鏡のような世界

   「わが永遠の魂」シリーズの制作は2009年から始まり、今も続いている。当初は様々なサイズだったが、最近は194センチ四方の正方形のカンバスに統一され、アクリル絵の具を使って描いている。すでに500点以上を制作しており、今回はその中から約130点が日本で初めてまとめて公開される。

   色彩の饗宴とはまさにこの作品群のことだろう。ピンク系を基調に紫や緑、青、黄色などもまざって万華鏡のような世界。ほとんどは抽象的なモチーフだが、中には具象も交じっている。

   1点が畳二枚分ほどの大きさ。それが壁面に130点もならぶ。草間さんの奔放な想像力が、脳内で猛烈な化学反応を起こして連続爆発したかのような展観となりそうだ。

   作品には、「しのびがたい愛の行方」「いまわしい戦争のあとでは幸福で心が一杯になるばかり」「開花の季節に涙するわたし」など長いタイトルが付いたものもある。ネーミングから、草間さんの切実な想いがひしひしと伝わってくる。

   うごめくミトコンドリアのような原初の生のイメージもあれば、「永劫の死」「原爆の足跡」のように、終末を感じさせる作品もある。「いのち」と「永遠の魂」へのいとおしさ――。まるで現代アートで制作した曼荼羅のようにも思える。

世界で最も影響力のある100人の1人

   草間さんは1929年、長野県松本市の種苗問屋の末娘として生まれた。10歳のころから水玉の作品を描き始め、52年には地元で初の個展を開くなど早熟ぶりを発揮した。57年には渡米し、60年代後半は「ハプニング」のアーティストとして知られた。一方で、若いころから幻覚など心の病に苦しんだ。

   93年、ベネチア・ビエンナーレの日本代表になり、2001年、朝日賞を受賞したことで現代美術家としての評価を確実なものにした。この数年はフランスのポンピドゥ・センター、英国のテート・モダン、米国のホイットニー美術館など欧米の超有名な美術館での巡回展、さらには中南米、アジア、北欧巡回展など世界中で引っぱりだこ。16年には米国「タイム」誌の「世界で最も影響力のある100人」に日本人でただ一人選ばれ、文化勲章も受章した。

   画家としてすべての名声を手に入れたかのような草間さんだが、けっして安住していない。その証しが、80歳になるころから着手した「わが永遠の魂」シリーズといえる。

「昼も夜も芸術に明け暮れています」
「私が死んだ後も、私の創造への意欲と、芸術への希望と情熱をくんでいただければ、これ以上の喜びはありません」

   今回の展覧会への思いを昨年9月、会見で涙まじりに語った。その様子をJ-CASTニュースで報じたところ、FBで4000以上のシェアが付いた。ネット世代にも熱烈に支持される草間さん。傷つきやすい無垢な魂と、「永遠の少女」のように若々しい、無限のエネルギーを体感できる展覧会となりそうだ。

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