世界の名画が「主婦の心の叫び」を代弁!? 「 #名画で学ぶ主婦業 」書籍化

   「学校からの手紙を当日朝息子のランドセルから発見」「日曜日の夜に体操服出すのやめて」―。

   2018年5月ごろ、主婦たちが世界の名画の画像投稿に添えた「主婦業あるある」ツイートが、「#名画で学ぶ主婦業」とのハッシュタグで拡散。8月27日、宝島社がこれらの投稿をまとめて書籍化した。

8月27日発売の「#名画で学ぶ主婦業」(宝島社)
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「マラーの死」に重ねた主婦の「小さな悲劇」

   ことの始まりは、一人の主婦のツイートだ。ジャック=ルイ・ダヴィッドの名画「マラーの死」の画像に、こんなコメントを添えた投稿が反響を呼んだ。

「『来週月曜日は給食はありませんのでお弁当を持たせてください。』という学校からの手紙を当日朝息子のランドセルから発見。」

   「マラーの死」は、フランス革命の指導者・マラーが暗殺された悲劇的なシーンを描いた絵画だ。マラーは血の付いた嘆願書を左手に持ったまま眠りについている。一見、紙に書かれた内容にショックを受けてうなだれているようにも見える構図だ。投稿者はこの嘆願書を学校からの予期せぬ手紙に見立て、せわしない朝の時間に「お弁当を急きょ用意しなければならなくなった」という小さな悲劇を重ねたようだ。

   投稿者の「悲哀」あふれるツイートは、共感と笑いを生んだ。この投稿をきっかけに、別の絵画で「主婦業あるある」を投稿するユーザーが続出し、ツイッター上で盛り上がった。

「落穂拾い」をベビースターに見立て...

   宝島社はこうした投稿の中から厳選した56件のツイートと、それに該当する絵画をまとめて単行本化した。ダ・ヴィンチ、ピカソ、ミレー、ゴーギャン、フェルメールなど世界的に有名な画家の作品も多い。

   ミレーの有名な絵画「落穂拾い」には、「もう二度とベビースターを食わせない」という主婦の嘆き。貧しい農民の女性が畑に落ちた穂を拾う姿を、子どもが食べこぼしたベビースターを黙々と掃除する自身の姿に重ねたようだ。

   本書には、文星芸術大学教授・田中久美子氏監修のもと、名画の歴史的背景、盛りこまれた寓意や見どころ、美術史における名画の重要性などのためになる解説も掲載されている。くすっと笑えて、芸術への見識が深まる1冊だ。

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