交通事故を大きく上回る「入浴中の死亡事故」 ちょっとした工夫で命を守れる

   11月26日は日本記念日協会が認定している「いい風呂の日」だ。これに先立つ11月21日、消費者庁が入浴中の事故について注意喚起を行った。

   同庁によると、特に高齢者が入浴中に溺死する事故が増えている。

入浴中の事故に注意
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入浴前に脱衣所や浴室を暖める

   厚生労働省の「人口動態調査」調査票情報を基に消費者庁が作成した「高齢者の『不慮の溺死及び溺水』による死亡者数の年次推移」を見ると、「不慮の溺死及び溺水」に分類される高齢者事故のうち、平成23(2011)年以降の「『家』、『居住施設』の『浴槽』における死亡者数」は、「交通事故」で死亡した高齢者よりも多い。最新のデータとして示されている平成28(2016)年には、3061人が交通事故で、4821人が家や居住施設の浴槽で亡くなっている。

   消費者庁は「入浴中の事故を防ぐための注意ポイント」として、「入浴前に脱衣所や浴室を暖める」ことを紹介した。寒くなると、リビングなど暖房器具を使っている生活空間と、そうでない浴室・脱衣所の温度差が大きくなる。温度変化に体が対応しようとして血圧が大きく、また急激に上下に変動して失神につながる恐れがある。湯船につかっている際に失神し、頭まで沈んだら命にかかわる。そこで脱衣所や浴室を暖めて、浴槽内で溺れたり浴室内で転倒したりするのを防ぐのだ。

   また、「浴槽から急に立ち上がらないようにする」ことも大切。湯によって体に常に水圧がかかっている状態から、一挙に水圧がかからない状態になると、圧迫されていた血管が一気に拡張して脳に行く血液が減り、脳が貧血状態になることで一過性の意識障害を引き起こす恐れがある。

   入浴するタイミングにも注意が必要だ。事故のリスクを低減するために、食後間もなくやアルコールが抜けていない時、精神安定剤や睡眠薬などを服用した後の入浴は避けたい。

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