「iPhone」失速、ファーウェイ「締め出し」 世界のスマホ勢力図「異状あり」

   世界のスマートフォン(スマホ)シェアは、韓国サムスン電子、中国の華為技術(ファーウェイ)、米アップルがトップ3だ。だが、各メーカーに「異変」が起きている。

   2007年に初代「アイフォーン(iPhone)」を発売してからスマホ業界をリードしてきたアップルは、最新機種の販売台数が伸び悩んでいる。ファーウェイは米中摩擦の火種となり、米国をはじめ製品を締め出す動きが出てきた。専門家の見方はどうか。

「iPhone」の不振は中国が影響しているとアップル
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最新iPhoneで新機軸打ち出せない事情

   米調査会社IDCが2018年11月1日に発表した、18年第3四半期(7~9月)のスマホ出荷台数、市場シェアのランキングは、首位サムスン、2位ファーウェイ、3位アップルの順だ。この3社合計で5割近いシェアを占めた。

   ただ、各社とも盤石とは言えない。まずアップル。19年1月2日の発表で、19年度第1四半期の業績を下方修正したのだ。同社は要因として、消費者間でのiPhoneの買い替えが予想ほど進まなかったと説明。また、主に中国市場におけるiPhoneの売上高が予想を下回り、「iPhoneの売上高の減少幅は、全体の売上高の前年同期比減少幅より大きくなっています」とした。

   アップルは現在、iPhoneの販売台数を非公開としている。だが最新モデル「XS」「XS Max」「XR」の売れ行き不振を指摘するメディアは少なくない。モバイル事情に詳しい青森公立大学経営経済学部准教授の木暮祐一氏はJ-CASTトレンドの取材に、これら機種に真新しさが少なく価格も高い点、さらに「iPhone8」のように過去の製品で十分満足している消費者が多いことを要因として挙げた。

   ただ、新機軸を打ち出しにくいのは事情があるとも指摘。その原因とみるのが、次世代通信規格「5G」だ。

   過去を振り返ると、2Gから3G、3Gから4Gと新しいネットワークに切り替わるタイミングで、携帯電話やスマホも新たなアイデアやサービスが開発、付加されてきた。

   5Gは、日本では早ければ今年にも実用化が始まるとみられる。半面、ここ2、3年は現行の通信規格の「末期」にあたる。アップルにとっては、目に見えて新しいアイデアをiPhoneに組み込むのは難しい環境で、どうしてもカメラ、指紋認証、ディスプレーの性能向上で「お茶をにごす」しかなかったと木暮氏。毎年、新型iPhoneを発表するのが「ノルマ化」しているアップルにとって、「驚き」を求める消費者の期待にこたえ続けるのはなかなか大変だ。

過去10年で「スタンダード」つくり上げてきたアップル

   アップルは業績修正の発表の中で、売上高予想を下方修正した原因のひとつとして、

「私たちは中国の経済環境が貿易をめぐる米国との緊張の高まりによってさらに影響を受けたと考えています」

と説明した。

   米中間の摩擦はアップルだけでなく、中国メーカーのファーウェイにも打撃となったといえよう。米国では、政府機関の取引先からファーウェイを締め出した。日本政府なども同社を調達先から排除する動きが出ている。

   ファーウェイ・ジャパンは王剣峰社長名で18年12月27日、「ファーウェイは事業を展開するすべての国や地域の法規制や国際電気通信規格を遵守しています」「私たちは純粋な民間企業であり、これまでにいかなる政府や機関からも当社の技術へのアクセスを要求されたことはありません」との文書をウェブサイト上に出し、セキュリティーに対する疑念の払拭に努めた。

   市場シェア首位のサムスンも、出荷台数で伸び悩んだ。先述のIDCの調査で、17年第3四半期の8330万台から7220万台と大きく減らしている。

   トップ3メーカーがいずれも厳しい状況に陥ったが、木暮氏は「(アップルの)『iOS』と『アンドロイド』の(スマホ基本ソフト)2強という構図は、今後も変わらないでしょう」と予想する。特にアップルは、過去10年以上にわたってiPhoneを世界に浸透させて「スタンダード」をつくりあげてきた。中国という「不確定要素」は残るが、5Gスタート後は新展開で巻き返す可能性もあると見る。

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