バイエルン・ミュンヘン「若き才能」発掘し特別キャンプ 元代表・名良橋晃氏と岩本輝雄氏が審査員

   サッカーの名門クラブ、FCバイエルン・ミュンヘン(ドイツ)が今夏、若き才能のために特別キャンプを開催する。

   現在、世界中で少年少女の選考を進めており、日本では2019年6月16日、東京都内のサッカー場で実施。ゲスト審査員を元日本代表の名良橋晃氏(47)、岩本輝雄氏(47)が務めた。

ゲスト審査員をつとめた名良橋晃氏(左)と岩本輝雄氏(右)
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世界最高峰・バイエルンのコーチ陣が直接指導

   バイエルンのプラチナ・パートナー企業である保険会社「アリアンツ」はサッカーの普及に注力している。今回、世界から若い選手をミュンヘンに招待する「アリアンツ・エクスプローラー・キャンプ」もその活動の一環で、グループ会社「アリアンツ・グローバル・インベスターズ」が09年から毎年企画。19年は8月22~27日の日程で開催する、サッカーの「短期留学」とでもいうべきものだ。現在、世界26拠点でその代表選考会が行われている。

   日本でも18年から選考会を実施している。参加できるのは14~16歳に限られ、男女1人ずつしか選ばれない狭き門。だが選抜されれば、バイエルンのコーチ陣から直々に指導を受けられ、トップチームの現役選手と交流できる特別プログラムが待っている。航空費・宿泊費は無料だ。

   バイエルンは、独ブンデスリーガで7連覇の偉業を達成したばかり。累計優勝回数は28回、欧州チャンピオンズ・リーグ(旧チャンピオンズ・カップ)制覇も5回にのぼる。現在の所属選手も、ロシア・ワールドカップ(W杯)でも日本と戦ったポーランド代表FWロベルト・レバンドフスキ(30)をはじめ、ドイツ代表FWトーマス・ミュラー(29)、元オランダ代表MFアリエン・ロッベン(35)らスターがズラリ。世界最高峰のクラブの1つだ。

   今回の日本での選考会では、事前の書類審査を通過した53人(男子41人、女子12人)に対して2段階の選考を実施した。

   1次選考は「1対1」によるゲーム。フットサルコートより狭いフィールドで、1分間での得点数を争った。2メートル程度の小さいゴールネットが「2つずつ」あるため戦術的な幅は広い。守備でゴール前に立っていればいいわけでない。攻撃で、近くのゴールを狙うと見せて遠いゴールにミドルシュートを蹴り込むなど、広い視野を見せる選手もいた。

   2次選考は趣向が異なる。1次選考を通過した10人を半数ずつに分けて「集団面接」を行い、技術以外のコミュニケーション能力や、自身の考えを表現する力を見た。「もしドイツに行ったら、海外の選手と仲良くなるためにまず何をしたい?」という質問には、「参加者に自分の国の文化を聞いてみる」「共通点のサッカーでコミュニケーションしていく」「『遊び』も必要。たとえばトランプなら海外でもできる」などの意見が飛び交った。

   最終的な代表2人は6月後半を目処に決定・発表される。

名良橋氏「殻をぶち破るきっかけに」

   ゲスト審査員の名良橋晃氏は「可能性を秘めた『原石』を見つけ、その力を引き出すには素晴らしい企画です。サッカーの能力だけでなく、自分の考えを言葉で表現することは、今後の成長につながります」と選考会の意義を述べた。これから選ばれる代表2人には、「サッカーも大事ですが、いろんな国の文化を肌で吸収し、未来につなげてほしいです。向こうの人もこちらからアクションすれば友達として受け入れてくれます。14~16歳というのは多感で難しい年代ですが、自分の殻をぶち破るきっかけになってほしいですね」と期待を込めた。

   岩本輝雄氏は「僕らが若いころはバイエルンのキャンプに参加できるなんていう素晴らしい企画はありませんでした。サッカーはまず1対1の『個の力』が大事です。1対1で強い選手が集まるチームは強い。その意味で、将来の可能性を感じる選手はきょう、たくさんいました」と参加選手を評価。「僕もいま高校生を教えていますが、難しい年頃であると同時に、精神的にも一番成長できる年代です。ドイツに行ければ今後の大きな財産になると思います」と話していた。

   選考会に出席したアリアンツ・グローバル・インベスターズ・ジャパン営業本部長の水谷準氏は「ようやく昨年(18年)の段階で日本社会に貢献できる体制が整い、国内でセレクションを始めることができました。バイエルン・ミュンヘンのプログラムを経験してもらうのは大きな価値があります。自分に自信を持ち、日本の若い選手が将来世界で活躍できるようになることを願っています」と語った。

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