障害や言語の壁を乗り越えて 「誰もが楽しめるゲーム」を芸人がお手伝い

   障害を持つ人や、日本語の語学力が不十分な外国人と、吉本興業のお笑い芸人が集まるイベント「よしもと芸人とアソブ 未来言語で new GAME in 100BANCH ナナナナ祭」が2019年7月9日、東京・渋谷の100BANCH(ヒャクバンチ)で行われた。

キャプション:イベントに参加した障害を持つアーティストと、よしもと芸人
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視覚障害者、ろう者・難聴者、在日外国人ら約100人参加

   このイベントは、障害や言語の壁を乗り越えて、すべての人が楽しめるゲームを作るもの。会場となった100BANCHは、パナソニックの創業100年をきっかけに計画・建設され、「障害」をテーマにした複数のプロジェクト組織の活動拠点にもなっている。

   まず視覚障害者、ろう者・難聴者、在日外国人などを含む約100人の参加者が、くじで各テーブルに分かれて座り、テーブルごとにコミュニケーションのファシリテーターと、お笑いコンビ「しずる」の池田一真さんや村上純さんらのよしもと芸人が一人ずつ入り進行した。ファシリテーターは、障害に応じた最低限のコミュニケーションをサポートし、芸人はテーブルを盛り上げ、雰囲気づくりを行った。

手話が特技の河本準一さんも進行をサポート

   催しは3部構成。第1部「未来言語ワークショップ」は、自己紹介や、メンバーの一人だけが答えを知り、残り全員が言葉やジェスチャーや手話で質問して答えを当てるゲームが行われた。

   自己紹介では、互いにどんな障害を持っているのかを伝え合った。冒頭は筆談も許可され、文字で伝えあったり(写真参照)、声を出したり、手話や英語を使ったりと、さまざまな方法での交流がスタートした。

   参加者からはなかなか第一声がでにくかったが、そこをサポートして場を盛り上げていたのが芸人メンバーだった。コミュニケーションが活発になると、知ろうとする姿勢と、伝えたい姿勢が前面に出て、各テーブルとも楽しく盛り上がっていた。

   第2部「笑いの競い合い」は、障害を持つ人が描いた絵に、芸人が大喜利形式でタイトルを提案し、作者本人が気に入ったものに決定する。作品は、その場でオークション式の販売が行われた。特徴的な作品と大喜利で会場は爆笑の渦に包まれた。

   第3部「未来言語アソビアイデアソン」は、会場に用意されたボールなどの小道具を使って、聞こえない、見えない、話せない人が楽しめる遊びを自由に考えるもの。テーブルで分かれたチームごとに遊びを考えて発表した。

   あるチームでは、ビーチボールをスイカのように床に置き、メンバーの一人が目隠しをして、棒を持って、別のメンバーの誘導にしたがってビーチボールまで進むスイカ割りのような遊びを考えた。誘導は、棒を持った人の背中を押すと一歩進む、左肩をたたいて左向き、右肩で右向きのように合図して進ませる。こうした指示の前に、背中に指で丸を書いて「触るよ」という気遣いも重要ポイントという発表があった。

   そのほかにも、工夫を凝らした遊びが発表された。

   主催スタッフは、「人と人がコミュニケーションするときに大切なのは『知ろうとすること』と、『伝えたいという気持ち』。そして人と人である以上、うちとけあうきっかけも必要。障害を理解する知識や経験、場を盛り上げる気遣いや面白さというコミュニケーションの大切さも感じていただけたら」と語っていた。

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