「平和な先進国」日本の不動産は魅力 「純粋な投資熱」高い中国人に良質な情報を

   何書勉さん(41)は、東京と上海のオフィスを頻繁に行き来する多忙なビジネスライフを送る。不動産情報解析を手掛ける「NeoX」社のCEO(最高経営責任者)として、両都市で指揮を執る。

   中国では、利回りの良い日本の不動産への投資が盛んだ。日本語が分からない、こうした中国人投資家向けに、良質な情報を提供するのが何さんのビジネスだ。

京大大学院で情報学博士号を取得した何書勉さん
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中国語で日本の不動産情報が得られる

「中国人はギャンブルが好きなんですよ」

   こう言って、何さんは笑った。「日本の土地を買い占める中国人」の話題がしばしば、インターネット上を賑わせるが、投資家の目的は純粋に「もうけ」にある。情報学の博士号を持つ何さんは前職で、日本全国のマンションおよそ11万棟のデータベース構築を手がけた。2017年に独立してNeoXを興すと、中国語で日本の不動産情報が得られるプラットフォーム「神居秒算」を公開、中国人投資家と日本の不動産会社との橋渡しの役割を担う。

   サイトは東京を中心とした首都圏、大阪、名古屋、福岡といった大都市の物件を中国語で紹介しており、それぞれ地域、金額、戸建てやマンション、土地といった不動産の種類で絞り込める。物件ごとに住所、写真、部屋の面積や築年数といった基礎情報、不動産価格、そして利回りが掲載されており、問い合わせ先の電話番号もある。言語が中国語である以外、日本の不動産紹介サイトを閲覧しているのと変わりない印象だ。ターゲットは主に「日本に住んでいない中華圏在住の人」だと何さんは説明する。

   中国人にとっては、不動産を購入しても日本の長期滞在が許可されない限りは実際に住み続けられない。一方で何さんによると、不動産の利回りは東京都心では新築、中古マンションともに上海よりも高い。日本に観光に訪れた中国人が好印象を持ち、投資をしてみようと考えるケースが少なくないそうだ。

   NeoX社の顧客は、95%が個人だと何さん。サイトの閲覧は無料で、会員登録は必要ない。良質で詳細な物件情報と写真を掲載することで個人客を集め、不動産会社に仲介することでコンサルタントフィーを得る。

スマホをかざせば近くの不動産情報を表示

   2020年には東京五輪を控え、いわゆる「インバウンド需要」は伸びると何さんは予測する。その先に2025年の大阪万博、さらにIR(統合型リゾート)が日本国内に広がれば、「マカオを知っている中国人」だけに、リゾート一帯の不動産に着目する人は少なくないとみる。

   さらなる投資に結び付けるツールとなりそうなのが、NeoX社のプラットフォームと同じ「神居秒算」の名のスマートフォン無料アプリだ。AR(拡張現実)技術を使っているのが特徴で、街中を歩いている際に起動すると周辺の形式が画面上に映し出され、その上に近辺にある登録された不動産情報が現れる。ビルの名称、住所から面積、利回りまで、路上にいながら分かる仕組みだ。

「気になる物件を見つけたら、このアプリですぐ詳細が分かる。そんな特徴を入れたかったのです」

   京都大学大学院で情報学の博士号を取得した何さんは、有意義な情報は、その人が興味を持った「対象物」に潜んでいると考える。だが不動産の場合、たまたま街で見つけて「欲しいな」と思っても、価格や間取りが建物に書いてあるわけではない。そこで、スマホをかざせばすぐ「潜んでいる知りたい情報」が見られるように工夫したのだ。

   こうしたハイテクを扱う何さんにとって、1997年に留学で来日した当時と今では「隔世の感」があるそうだ。近年、日本人は中国企業、またAI(人工知能)やモバイル決済をはじめとする先進技術に対する印象が変わってきていると感じる。

   一方で中国人、特に知識層は日本が先進国であり、平和な国であると理解しており、だからこそ多くの観光客が来日している。日中双方の相互理解がさらに進み、ネガティブな面を誇張するような報道が抑制され、「お互いのいい面を、母国の人に伝える」ことがさらに進行すれば、ビジネス面でもさらなる好影響につながると期待している。

(J-CASTトレンド編集部 荻 仁)


   日本に住む中国出身者の数は、2018年末時点で76万4720人。台湾出身者を合わせると83万人に迫る(法務省調べ)。日本社会に根付き、活躍する中国人は少なくない。J-CASTトレンドでは今後こうした人の取材を軸に、「私たちのすぐ近くの中国」を見ていく。

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