日本の若者1000人に聞く性と恋愛 国際協力NGOジョイセフが調査

   女性の命と健康を守るために活動する国際協力NGOジョイセフは、18~29歳の日本の若者1000人を対象に、インターネット調査「性と恋愛2019―日本の若者のSRHR意識調査―」を行い、2019年10月10日に結果を発表した。

   若者の恋愛観や性に対する考え、性感染症への意識の低さなどが明らかになった。

性と恋愛2019―日本の若者のSRHR意識調査―(画像は本文とは関係ありません)
「付き合っている相手に気に入られるために、本来の自分とは違うと思っても、相手に合わせてしまうことがあるか」
「相手にセックスについて、自分から相談したことがあるか」など
「気が乗らないのに性交渉に応じた経験があるか」
「セックスについて語るのはタブーか」
「性交渉のときにコンドームを毎回つけるか」
「コンドームは頼まれなければつけない」
「婦人科・泌尿器科系の悩みに関して、相談する相手はいるか」
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性について語るのはもはやタブーではない

   SRHRとは、セクシュアル・リプロダクティブ・ヘルス/ライツの頭文字で、性と生殖に関する健康と権利を意味する。ジョイセフは、2016年から「I LADY.」キャンペーンを実施し、SRHRに関する情報を提供しており、その一環として若者を対象とした意識調査を行った。

   有効回答は、これまでに恋人やパートナーがいたことがある全国の若者1000人から得た。

   恋愛意識について、「付き合っている相手に気に入られるために、本来の自分とは違うと思っても、相手に合わせてしまうことがあるか」には、74.8%が「よくある」「たまにある」と回答した。

   性経験については、「相手にセックスについて、自分から相談したことがある」人は全体の18.6%、「気が乗らないのに性交渉に応じた経験がある」人は50.2%。

   ジョイセフは、日本の若者には相手につい合わせてしまう、性交渉について自分の希望を言い出せない、といった傾向にあると分析している。

   一方で調査からは、男女ともにセックスを語るのはもはやタブーではないという意識が若者の間にあることも明らかになった。

   「男性が『セックス』について語るのはタブーである」には14.1%、「女性が『セックス』について語るのはタブーである」には18.7%のみが「そう思う」「ややそう思う」と回答した。

   法学者で「全日本おばちゃん党」代表代行の谷口真由美氏はこれらの結果について、ニュースリリースにコメントを寄せている。セックスについて語るのがタブーだとは大多数が思っていないのに、性交渉の相手に自分から相談したことがある人が少ないことを「なんともちぐはぐ」と表現。友人間で楽しく話す性についてはタブーではないが、性的自己決定権についての意識は希薄なのではないかと推測した。

正しい知識で対等なコミュニケーションを

   産婦人科医の遠見才希子さんは、日本の性教育の遅れと、性感染症への意識の低さを憂慮している。

   日本の主な避妊法はコンドームだが、実は、避妊効果が高いとは言えない。性感染症予防のために使用し、避妊効果の高い避妊法を併用することが推奨されているが、日本ではあまり普及していないと発表資料の中で指摘した。

   その上、性交渉のときに毎回つける男性は51.7%に留まり、「頼まなければ付けない」男性が20.2%存在することが調査で明らかになった。

   「海外では5歳頃から体系的な性教育を行う国もありますが、日本では、性について語ることがタブー視されがちで、悩みを相談できない人や、『膣外射精で避妊できる』『安全日がある』といった誤った知識を持つ人は年齢問わずいるでしょう」と遠見さん。

   「婦人科・泌尿器科系の悩みに関して、相談する相手はいるか(複数回答)」という設問には、女性は母親(44.3%)、友人(37.3%)、パートナー(28.8%)に相談できる人が多いが、男性の49.2%が「相談する相手がいない」。加えて全体の84.2%が「医療従事者に相談しない」。

   日本でも、性について相談できるホットラインは増えてきており、保健所では無料・匿名で性感染症検査を受けられる、と遠見さん。「現状の問題点や正しい知識を知った上で、自分と相手が対等なコミュニケーションで話し合い、より安全で満足できるセックスができるといいですね」とアドバイスしている。

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