新競技スケートボードで輝け 佐川涼「すごいトリック」で魅了する【特集・目指せ!東京2020】

   スケートボードは、米国ではスポーツとして確立している。

   たとえば、世界最高峰のスケートボードの大会「SLS(ストリートリーグ)」の優勝賞金は1000万円と高額だ。米スポーツ専門チャンネルESPN開催の「X games』は、世界206か国で放送され、約5億世帯が視聴する。

   知名度があれば、スポンサーも付く。プロスケーターであるトニー・ホーク選手の年収は10億を超えると言われており、他にもエリック・コストンやライアン・シェクラー選手など億超えのプレーヤーがいるというから驚きだ。

   そんなスケートボードが、2020年の東京五輪から正式競技になった。今回登場するのは、五輪に向けて奮闘を続ける佐川涼選手(クリスタルガイザー)だ。(インタビュアー・石井紘人 @ targma_fbrj)

佐川選手はリラックスした表情で撮影に臨んだ
競技のワンシーン、躍動感あふれる(写真提供:大塚食品)
インタビューにこたえる佐川選手
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「兄に勝てた」が今につながる

――佐川選手は、2017年に国内プロツアー年間王者になり、2018年はアジア選手権で優勝しました。一方で、勝ち切れない試合もあり、東京五輪を確実とはいえない状態です。そんな中、(2019年4月開催の)『FISE HIROSHIMA 2019』で優勝しました。過去の大会を振り返って、一番嬉しかったのは、どの大会ですか。

佐川 小学3年生の時に出場した、地元(神奈川県)の「草大会」はよく覚えています。その大会で、初めて兄にスケートボードで勝ったんです。それが、一番嬉しかった。
元々、自分はスケートボードがそんなに好きではなくて、兄についてやっていた感じです。それが、本当にたまたま兄に勝てて、勝てたことが嬉しくて、今に続いているのだと思います。当時はこんな年齢になるまで続けるなんて思わなかった(笑)。

――スケートボードはテクニック、フィジカル、運など、何がポイントになりますか。

佐川 メイク率(技を成功させる確率)が6割から7割を占めると思います。あとは、技術ですね。運もちょっとはあるかもしれません。でも、とにかく自分たちは繰り返し同じ技をずっと練習して、常に技を出せるようにメイク率を高めていこうとします。でも、すごく難しい。
たとえば、世界大会を見ても、意外な選手が予選で落ちてしまったりもしますし、常に勝つ人もいない。やはり、足と板が離れているから、すごく難しい。でも、それが面白さでもあります。

例えるなら「トリプルアクセル」

――佐川選手は、自分のスケートボードのどこを見て欲しいですか。初めて見る人たちにも分かるように、例えて頂けるとありがたいです。

佐川 自分は板を回転させるトリックが得意です。例えるなら、フィギュアスケートのトリプルアクセルですかね(笑)。フィギュアスケートを知らなくても、「トリプルアクセルってすごいよね」と定着しているじゃないですか。自分のスケートボードを見て、板を回転させるトリックがすごいって思ってもらえれば。

――フィギュアスケートの話が出ましたが、スケートボードも同じように競技時間があり、そこで技をみせます。佐川選手は構成をどのように考えていますか?

佐川 パーク(ジャンプ台など構造物が設置されているスケートボード場)によって、セクションの配置や坂の角度が違います。そこで、自分の目で見て、自分のできる技を頭に並べていく。そして、練習して、流れが見えるように補正をします。

――東京五輪に向けての意気込みを。

佐川 五輪はすごい大会ですし、出たいとは思うのですが、現時点では難しい状況ではあります。スケートボードの場合は、選出へのレギュレーションが定まっていない部分もありますので、自分が出場できる大会に出て、そこで勝って、五輪に出場出来ればよいなと思っています。

――他の選手たちの動向は気になりますか。

佐川 そういうのはないですね。ライバルとかではなくて、スケート友達って感じです。スケートボードは「〇〇に勝つ」ではなく、いかに自分の持っている技にのれるかなのです。もちろん、大会前に周りの練習を見て、「この技じゃダメだな」と構成を変えることはあっても、「vs」の意識はないです。東京五輪まで、自分のメイク率を高めていければと思います。

佐川涼(さがわ・りょう) 1999年8月24日生まれ。Element主催のアマチュアコンテスト、Make It Count 2016のジャパンファイナルを制し、 スペイン・バルセロナにて1週間でパートを制作するという世界最終戦に参加。神奈川県のスケーターを中心に結成されたThePEACEのメンバー。実兄はIFO所属のプロスケーター・佐川海斗選手。クリスタイルガイザー所属。

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