深夜のギャラリーに「泥棒」大集合 一夜限りの「盗めるアート展」ビフォー・アフター

   来場者が自由に国内外で活躍するアーティストの作品を盗める――背徳感を刺激するイベント「盗めるアート展(Stealable Art Exhibition)」が2020年7月10日0時0分から、東京都品川区のギャラリー「same gallery」で開催した(現在は閉展)。

   ギャラリーは24時間無人営業、セキュリティもない。「アート泥棒大歓迎」と言わんばかりだ。いったいどんな作品が展示されるのか...J-CASTトレンドは7月9日、泥棒たちが侵入する前の現場を内覧した。

「盗めるアート展」会場外観
主催者の長谷川踏太さんと「Midnight Vandalist」(Naoki "SAND" Yamamoto)
「モナリザを盗んでみたい人の為の」(Joji Nakamura/画像3)
盗む人の心をとがめるメッセージがクレジットカードに描かれている「GODS AND MOM BELIEVE IN YOU」(Minori Murata/画像4)
(左から)「Untitled」(加賀美財団コレクション)、「井上陽水1987」(Akira Gomi)
手前に置かれたはさみで切り取って、少しずつ持ち帰ることもできる「セル フ ディヴィジョン」(Merge Majurdan/画像6)
手前の白い台座を持ち帰ったアート泥棒がいるという「一つと三つのホワイト・キューブ」(yang02)
「アート・ブレスト」(exonemo)
会場内の様子
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「ギャラリーへ持ってくる途中に盗まれた」作品も

   会場は、品川区・荏原の住宅街の一角にぽつんと佇む小さなギャラリー。入口からでも全10点の展示作品が見渡せる広さで、身を隠せそうな死角などはない。絵画に付箋、額に収められたぐしゃぐしゃの1万円などさまざまだが、真っ先に目に飛び込んできたのは一枚の張り紙。「ギャラリーへ持ってくる途中に盗まれました」と殴り書いてある。既にアート泥棒が出たのかと思いきや、加賀美財団コレクションが手掛けた「Untitled」という作品だった。

   主催者の長谷川踏太さんによると「ただ見られるだけでなく、売れるわけでもなく、『盗まれる』ことを想定として作られている点」に見どころがある。例えば「モナリザを盗んでみたい人の為の」(画像3)。明らかに偽物とわかるタッチで描かれた「モナ・リザ」で、「かの世界的有名絵画を盗める体験」を具現化した作品だ。また床に散りばめられた財布に硬貨、クレジットカード群「GODS AND MOM BELIEVE IN YOU」(画像4)も、タイトルからにやりとさせられる。「神と母はあなたを信じている」という直訳の通り、大量のお金を前に欲望に打ち克てるかどうかを問われている皮肉めいたアートだ。

   他にも、いくつもの絵が組み合わさったパッチワークのような布アート「セル フ ディヴィジョン」(画像6)には薄くキリトリ線が入っており、床に置かれているハサミで切り取ることで複数が持ち帰れる工夫がなされている。日めくりカレンダーを思わせる「Midnight Vandalist」(画像2)も、何枚もの同じイラストで構成されており、1人が全て持ち帰るのか、それとも大勢のアート泥棒が1枚1枚破って持っていくのか、想像が膨らむ。

一夜明け、「数分で全作品が...」

   7月10日になると同時にスタートする「盗めるアート展」。J-CASTトレンドの取材に対し、長谷川さんは「『コスプレをして参加してよいか』、『お宝はいただいた、という旨のメッセージカードを置いてよいか』などの問い合わせを受けており、多くの方から注目されているようなので1、2時間で全作品が盗み出されるのでは」と予想を語った。

   ふたを開けると、想定以上のアート泥棒が集まったようだ。7月10日午後、改めてイベントスタッフに問い合わせると「数分で全作品が盗まれた」という。イベント開始前から多くの人が会場付近に待機し、道に収まりきらなくなってしまったため、予定していた開始時刻より前に開場しようとしたところ人が雪崩れ込んだのだそうだ。ただ「暴動」という雰囲気ではなく、「マナーよく待っていただき、アートを盗む際もじゃんけんで決めるなど平和的だった」。

   これまでにない珍しいイベントだったため、会期前からあまりにも多くの人の心を盗みすぎてしまったか。

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