■マイルCS「カス丸の競馬GI大予想」 
グランアレグリアは牡馬に勝てるか?


   カス丸 はーい、ぼくカス丸きゃすう。先週のエリザベス女王杯は1番人気のラッキーライラックが連覇を達成したじぇい。これで秋のGIは4戦してどれも1番人気が勝利する結果になったきゃすう。今週はマイルの王者を決めるマイルチャンピオンシップ(CS、2020年11月22日、阪神1600メートル)だじぇい。秋のGI初戦、スプリンターズステークスを勝ったグランアレグリアが1番人気になりそうだけど、5戦目も1番人気勝利なら穴狙いのカスヨ姉さんの出番は来ないじぇい。カスヨさんは本命◎をアドマイヤマーズにしてるけど、大丈夫きゃすう?


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グランアレグリア3つの不安

   カスヨ いやあ、そろそろわたしの出番かな、と思ってるんだけど、1番人気がこんなに勝ってばかりじゃ、競馬も面白くなくなってしまうわね。でも、今回は自信があるのよ。で、本命のアドマイヤマーズなんだけど、じつはグランアレグリアにこれまでGIの舞台で2回も勝っているのよ。知らなかったでしょ? それに今回は5番人気くらいに支持を落とすでしょうから、穴党には狙い目なのよ。昨年の香港マイルでは、あの「香港のアーモンドアイ」といわれたビューティージェネレーションやワイククなどの強豪を倒しているから、この馬の実力はイメージよりも高いと考えていいと思うわ。前走の毎日放送賞スワンステークス(GII、京都、1400メートル)は間隔が4か月近く開いたことと斤量が1番重い58キロだったことが響いたわね。それでも3着だったことを考えると、善戦したと思うわよ。それになにより、この馬はね、右回りのマイル戦では負けたことがないのよ。この点が大きいわね。

   カス丸 ふーん、なんだかいいとこに行きそうだじぇい。それでガジュマル爺の本命◎がダノンアレグリアじゃなくて、サリオスなんだけど、どうしてきゃすう?

   ガジュマル爺 このレースは3歳馬をどう考えるかにかかっておるんじゃ。今年の夏競馬で3歳が重賞クラスで古馬(4歳以上)の壁を崩せなかったといって、3歳のレベルを疑問視する声も出たもんじゃが、無敗3冠馬が2頭も出ておる世代じゃ。そんなことはまったくないはずなんじゃ。つまり、コントレイルやデアリングタクトのような「別格」の馬は超一流というのが、今年の3歳なんじゃな。サリオスも「別格」に入る1頭じゃ。 今回の舞台となる阪神芝マイルは昨冬のGI、朝日杯フューチュリティステークスで圧勝。今春の3歳クラシックは、皐月賞(中山芝2000メートル)、日本ダービー(東京芝2400メートル)で、コントレイル(菊花賞も勝利)の2着と、敗れはしたものの同レベルの能力をみせたわけじゃ。前走の毎日王冠(GII、東京、1800メートル)では初の古馬との対戦だったんじゃが、府中の直線を上がり(最後の600メートル)最速のタイムで、しかもムチも入れず余裕の完勝じゃった。今回は古馬(牡馬57キロ)より斥量(負担重量、56キロ)が軽いのも有利に働くはずじゃ。それと軽い疝痛(腹痛)があったというんじゃが、それも回復したそうじゃ。競馬では「疝痛明けはよく走る」ということわざがあるように、ここは金星のチャンスかもしれん。ともかく距離の長い菊花賞を避けて、得意距離のこのレースに照準を合わせてきたローテーションも最高じゃ。

   カス丸 爺が1番人気候補のグランアレグリアを本命にしないとは意外だじぇい。しかも対抗〇でもなく単穴▲きゃすう。カスヨさんは押さえ△だじぇい。グランアレグリアに失礼じゃないきゃすう? 安田記念でアーモンドアイを完封した馬だじぇい。

   カスヨ グランアレグリアは確かに強いと思うわよ。でもね、今回はざっと思いつくだけで3つくらい不安点があるわね。まずは今回のレース、つまり秋のマイル王決定戦は、牡馬の独壇場だということね。このレースで牝馬が勝ったのは、2008年のブルーメンブラッドまでさかのぼらないといないのよ。なんと10年以上も歯がたたないのよ。それにいつもは京都コースなんだけど、今年は阪神ね。阪神コースはゴール直前に急坂があるからグランアレグリアが天下一の末脚といっても鈍る危険があるわね。それと、こちらのほうが重要かもしれないけど、グランアレグリアが好成績を出すのはレースとレースの間隔が開いた時なのよ。この馬はデビュー以来9戦して6勝ね。つまり勝ったときは、3か月は間隔を開けてるのよ。負けた3戦のうち、今年春の高松宮記念は3か月開いたんだけど、このレースは雨の中の道悪で、しかも初めての1200メートルということもあり、例外扱いね。朝日杯フューチュリティステークス(3着)の時は2か月、そして1番成績の悪かったNHKマイル(5着降着)では中3週だったわ。そこで今回はというと、前走が10月4日のスプリンターズステークス。つまり中5週ということね。末脚がとてつもなく速いから回復するのに時間がかかるのはアーモンドアイと似ているんだけど、ローテーションがいいとはいえないのよね。最後は付け足しになるかもしれないけど、鞍上のルメールちゃん(クリストフ・ルメール騎手)がこのGIには勝ったことがない点もあるわ。阪神マイルの成績が悪いわけではないから、今回は違うかもしれないけど、本命とまではいかないのよね。

3歳馬は信頼できるのか


   カス丸 ふーん、でも馬体はがっちりしてきて成長してると思うけど、よくわからないじぇい。それで、対抗〇はカスヨさんがサリオスで、爺はレシステンシアとこれまた3歳だじぇい。爺は若い馬が好みきゃすう?

   ガジュマル爺 レシステンシアも3歳馬では「別格」なんじゃ。昨冬の2歳GI、阪神ジュベナイルフィリーズ(阪神芝1600メートル)まで無傷の3連勝じゃ。3歳になってからはGIIIのチューリップ賞(阪神)、桜花賞(GI、阪神)、NHKマイルカップ(GI、東京)と芝1600メートルを3戦して2着2回、3着1回とちゃんと馬券圏内を確保してきたんじゃ。阪神コースに限れば、GI勝ちに2着3着が1回ずつじゃ。しかも、速いラップを刻んで逃げる、自らレースをつくれるのがこの馬の強みなんじゃ。今回は斤量54キロじゃから最初から飛ばして、後続の末脚を封じる戦術でいくと思うわい。それとGIを勝ったときの鞍上、北村友一騎手に乗り替わるのもプラスに働きそうじゃ。唯一の懸念は、マイルCSでは逃げ馬の成績がよくないという点なんじゃ。それもまあ、京都と阪神は別とみれば大したことではないかもしれんのだが。ともかく、調教ではこれまでになく動きがいいから期待はできると思うんじゃがな。

   カス丸 マイルCSは、昔は荒れるGIだったらしいけど、ここ5年はわりと堅い決着になっているじぇい。穴馬の出番が少ないかもしれないけど、どんなのがいるきゃすう?

   カスヨ わたしは先ずはインディチャンプね。昨年の春秋のマイル王者ね。今年の安田記念(東京1600メートル)でも3着とマイル戦においては安定した成績をおさめているわ。一度叩かれてからの方が走る傾向があるからそこがすこし心配ね。あと、今回は一とん挫あってスプリンターズステークスへ参戦ができず、ここへぶっつけ本番で臨むところも気がかりなのね。でも、まだ5歳だから展開次第では勝ち負けになるかもよ。 次にラウダシオンよ。この馬も爺が好きな3歳なんだけどね。今年のNHKマイルカップの勝ち馬よ。実績はそこそこなのに、なぜか軽視されがちなのよ。ここんところ左回りしか使われていないため、右回りには多少の不安はあるんだけど、GI馬の底力を無視はできないわね。 最後にタイセイビジョン。阪神コースでは連対を外していないし、コース適性ならナンバーワンよ。この馬も3歳なんだけど、この秋に一叩きされたから成長も見込めるわよ。

    ガジュマル爺 わしは先ずはスカーレットカラーじゃな。この馬はともかく最後の鋭い末脚をどうやって生かすか、この一点で馬券になるかならないかが決まるという、わかりやすい馬なんじゃ。末脚はグランアレグリアにひけととらないくらい鋭いんじゃ。前走は天皇賞(秋)(GI、東京、2000メートル)に挑戦したんじゃが、9着じゃった。勝ったレースをみると、レース前半が緩ければ末脚が活きるという傾向があるんじゃが、1800メートルあたりが限度なんじゃ。天皇賞は少し長すぎたといえるじゃろ。今回はマイルじゃから1600メートル。過去には天皇賞(秋)からの距離短縮組が穴をあけるケースが少なくないからぴったしの距離に戻ればアッといわせる場面も可能じゃ。 もう一頭はヴァンドギャルドじゃな。マイルCSでは一番勝利数が多い4歳組じゃ。つまりグランアレグリア、アドマイヤマーズと同世代。新馬戦の阪神マイルを1番人気で勝ち、続く東京スポーツ杯2歳ステークス(GIII、東京1800メートル、3着)、GIのホープフルステークス(中山2000メートル、9着)と早くから期待されていたが、ようやく本格化してきたんじゃ。前走の富士ステークス(GII、東京1600メートル)では中団よりやや後方から上がり3ハロン(最後の600メートル)を34秒6の脚で一気に突き抜けた。5勝中4勝がマイル戦じゃから距離はぴったんこじゃ。充実した今なら一発があってもおかしくないというもんじゃ。

   カス丸 うーん、いろいろだじぇい。でも阪神マイルは最後の直線(473メートル)が長いから、末脚勝負だじぇい。となるとグランアレグリアが強いきゃすう。本命◎にするじぇい。

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