ワクチン予約求める高齢者 電話攻勢で「患者の対応できない」とクリニック

    新型コロナウイルスのワクチン接種が、トラブル続きの様相だ。高齢者を対象に、各自治体ではインターネットや電話で接種予約を受け付けているが、いずれも大混雑が報告されている。

   それだけではない。医療機関の窓口にも直接問い合わせが殺到し、外来患者に対応できないといった業務上の支障が出るケースもみられる。予約を取れないお年寄り、電話のやり取りに忙殺されるクリニック側、双方が困っている。

電話対応に追われて業務に支障が出ると困ります(写真はイメージ)
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朝からほとんど電話が鳴り止まない

   2021年5月10日放送の「ニュースウオッチ9」では、同日から高齢者を対象としてワクチン予約の受け付けを開始した「鹿子嶋医院」(大分市)の様子を報じた。予約の電話や、直接訪れる人が相次ぎ、院長は「朝からほとんど電話が鳴り止まない。患者さんの相手もできない状態」と話した。接種する順番を決めるにあたり、「くじ引き」にしたという。

   5月1日付の京都新聞電子版によると、京都市で接種を受けられると公表している医療機関にも予約の電話が殺到。通常診療に影響が出たことなどを理由に、公表を見合わせる医療機関が続出したという。

   京都市の「ふなきクリニック」は、接種予約の枠がすでに埋まっていると公式サイトで発表。4月30日には、業務に支障をきたしているとして「電話でのお問い合わせはお控えください」と呼びかけている。4月27日から予約開始し、当初は電話予約を受け付けていたが、電話回線が「パンク状態」になったとのことだ。

   5月6日の「RKK熊本放送」の報道によると、熊本市の「東病院」ではワクチン接種の予約を市の予約サイトやコールセンターに委託しているにも関わらず、ワクチン接種に関する電話が同日に200件以上寄せられた。同院の事務長は「電話回線が全部ふさがってしまって、業務に支障をきたしている状況」が続いているとした。

   同市の「むさし内科クリニック」も、コールセンターに接種予約を委託していると公式サイトで説明している。ここも同様にワクチンに関する電話が相次ぎ、「通常業務に支障が出ています」として、コールセンターを利用するよう5月6日に呼びかけている。

接種開始前にも

   日本では、高齢者を対象とした新型コロナワクチン接種は4月12日に始まったが、電話問い合わせが相次ぐことによるトラブルは開始以前から起きていたようだ。

   名古屋徳洲会総合病院(愛知県春日井市)は2021年4月3日付でウェブサイトに、「新型コロナワクチンについて電話でのお問い合わせが多くなっており、業務に支障がでることがあります」と告知を掲載。市のコールセンターなどに問い合わせるよう求めていた。

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