「フロッピーディスク」官公庁は今も使用? Z世代は「都市伝説」扱い

   警視庁は、東京・目黒区にある区営住宅申込者の個人情報が入った「フロッピーディスク」(FD)2枚を紛失したと2021年12月27日に発表した。複数メディアが報じている。

   樹脂製ケースに磁気ディスクが格納された記録媒体だが、今では日常的に見かけることはほぼないだろう。ツイッター上では、いまだに官公庁でFDが使われていることに驚く人もいる。

現代人にフロッピーディスクを渡すと困惑するかも(写真はイメージ)
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「実物を見た記憶がない」

   2021年6月17日付読売オンラインによると、初期のFDは1967年に米IBMが開発。日本国内FD最大手だったソニーの出荷量は2000年度に4700万枚に達したが、大容量のハードディスクドライブやDVDが登場したことで各社はFDの生産を打ち切り、ソニーも11年3月に撤退した。

   官公庁で使われているのなら、今も店で売っているのだろうか。記者は21年12月28日、東京・新宿駅周辺の大手家電量販店を3店訪れた。FDそのものと、FDを読み取れるパソコン、パソコンにつなぐことでFDを読み取れる外付けドライブを探して回ったが、いずれの店舗にも取り扱いはなかった。

   量販店のスタッフ1人に話を聞くと、この店で最後に取り扱っていた外付けFDドライブは、2013年にメーカーが販売を終了したという。

   Z世代の記憶には残っているのかも気になる。19歳の男性Aさんに取材すると、「存在を知らない」と回答。女性BさんはFDを知っているが、「実物を見た記憶がない」と語った。

   一方、20代の男女4人はいずれも実物を見たことがあると話した。3人は2000年前後に両親が自宅で使っていたのを見たと回答。また1人は、2002~08年にかけ、小学校のパソコンの授業で触れたことがあるとした。いずれも、2010年以降は職場や学校で見たことがないという。

   なお、前出の19歳女性BさんにFDの印象を聞くと、「都市伝説みたいな存在。MDディスクと並ぶレア物」と話した。

実はゲームで「現役」

   国内大手メーカーがFDやFDドライブを現在も生産している例は、調べた限り見つからない。ただ、アマゾンでは過去の製造品を購入できる。ソニー製で「SONY 2HD フロッピーディスク DOS/V用 Windowsフォーマット 3.5インチ」という商品名のFDは、10枚入り新品が3500円(税込)で売られている。

   FDを再生媒体としてPCゲームが近年発売された例もある。「三月うさぎの森」(埼玉県羽生市)が運営するレトロPC・ゲーム店「BEEP」は、21年3月9日にゲームソフト「YsⅠ&Ⅱ ~Lost ancient kingdom~」を発売した。

   NECのPC「PC-8801mkIISR」(1987年発売)用ソフトとして87・88年にリリースされたゲーム「イースI」「イースII」を、シャープのPC「X68000」(87年発売)向けに移植したソフト。これが、令和の時代にFDで販売されているのだ。今回の警視庁の報道のように、今後も思わぬところでFDの存在を目にすることがあるかもしれない。

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