病院でマイナンバーカード提示したら「追加料金」 保険証でも同じ?

   病院などで、健康保険証の代わりにマイナンバーカードで本人確認できる制度が2021年10月から本格化している。保険証が手元になくても、マイナンバーカードの登録を済ませていれば、「オンライン資格確認システム」が導入されている医療機関・薬局で使える。

   実は22年4月以降、このシステムが導入された病院でマイナンバーカードや保険証を使って本人確認を行うと、患者は「9円」を追加で支払うことになる。さらに、場合によっては「21円」を負担させられるというのだ。

初診時の負担が少し増える(写真はイメージ)
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「オンライン資格確認」で使える

   医療機関を受診するとき、通常なら保険証を提示するだろう。病院側は、保険証を用いて、患者が加入している医療保険を確認する「資格確認」(本人確認)作業を行う。「オンライン資格確認」ではこの作業が効率化されたほか、マイナンバーカードでも同様に作業できるようになった。

   社会保険診療報酬支払基金が運営する「医療機関等向けポータルサイト」によると、オンライン資格確認システムが導入されている医療機関では4月以降、マイナンバーカードか保険証を提示して資格確認を受けると、初診時には病院側に「3点」の診療報酬が加算される。

   1点は10円として計算されるため、患者側の支払いの自己負担割合が3割ならば、窓口で初診時に3×10×0.3=9円を支払うことになるのだ。

   ところで、マイナンバーカードを使うと、病院は上述の薬剤情報や特定健診情報を患者の同意のもとで取得できる。この情報を取得し診療に活用すると、診療報酬に「3点」ではなく「7点」が上乗せされる。自己負担の割合が3割なら、患者は記事冒頭で触れた21円を支払う。こちらは再診でも「4点」が加算され、自己負担3割なら12円となる。

   これらオンライン資格確認システムによる上乗せは、各患者に対して初診や再診ごとに月1回まで加算される。

   資格確認を行なった場合の「3点」の加算制度の方は、2024年3月31日を期限として定められている。薬剤情報・特定検診情報を活用しての診療による「7点」は、同日以降も続く。

処方された薬剤情報がスムーズに伝達

   厚生労働省の医療介護連携政策課に取材した。こうした診療報酬は、「電子的保険医療情報活用加算」として規定され、オンライン資格確認システムが導入されている施設が対象だ。

   マイナンバーカードを通して薬剤情報や特定検診情報を取得、活用すると「7点」が加算されるのは、病院側が「よりよい医療」を提供することへの報酬として設定されている。初めて訪れた病院でも、過去に処方された薬剤といった情報がスムーズに伝達され診療を受けられることが患者にとってのメリットだ。

   また、これらの情報を取得・活用しなくても、システムを導入したことへの報酬という位置付けで、マイナンバーカードか保険証で資格確認を行うだけでも病院側に「3点」が上乗せされるとの話だ。

   患者は、薬剤情報・特定検診情報の病院での取得・活用に同意するかを毎回求められる。同意しなければ、支払う負担額は「7点」(自己負担3割なら21円)ではなく、「3点」(自己負担3割なら9円)となる。

   厚労省発表によると、22年3月20日時点で全国の医療機関・薬局の14%がオンライン資格確認の運用を開始している。2023年3月末までに「おおむね全て」の施設へのシステム導入を目指している。

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