COCOA終了で思い出した 東京五輪向け「73億円アプリ」のいま

   新型コロナウイルスの接触通知アプリ「COCOA」がその機能を停止する。約3.8億円をかけて開発されたCOCOA。感染拡大を防止するうえで期待通りの効果を挙げたのか、疑問にとらえる声がインターネット上には多い。

   政府が億単位の費用をかけた新型コロナ関連アプリは、COCOAだけではない。2021年の東京オリンピック・パラリンピック競技大会で、選手や関係者の健康を管理するために使われた「統合型入国者健康情報等管理システム」(OCHA、通称オリパラアプリ)が思い出される。当初は開発に約73億円かかると報じられ、その事業費が話題となった。

COCOAといえば オリパラアプリはどうなった
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オリパラアプリに「後継」は

   「統合型入国者健康情報等管理システム」は、オリンピック・パラリンピック観客等向けアプリと、これを機能させるための「データ連携基盤」を指す。

   このシステムの調達に不適正な点がなかったかをめぐり、平井卓也デジタル改革担当相(当時)の指示のもと弁護士4人が調査した報告書が2021年8月20日に公表されている。デジタル庁公式サイトで閲覧できる。

   開発や運用業務の委託先は一般競争入札で決められ、NTT コミュニケーションズ(代表幹事)やNECなど5社で構成されるコンソーシアムが73億1500万円(税込)で落札した。適正な予定価格を決定するため、調達担当の中心だった内閣官房IT総合戦略室は複数の民間事業者に見積もりを依頼。このとき他社による見積もり内容を担当の官房職員がほかの会社に提示するなど、調達に不適正な行為があったと報告書は指摘している。

   契約金額が過大と考えた平井元大臣は、搭載される機能の精査と金額の削減を指示。「顔認証システム」など予定されていた一部機能の使用を取りやめ、同年5月31 日に38億4840万8366 円と契約金を変更した。

   なお報告書は、システムの開発事業自体は「有効性は十分に認められる」と評価している。理由として、外務省の「e-VISA システム」や税関所管の税関システムなどと連携させることにより利用者の利便性が向上すると考えられる点や、東京オリンピック・パラリンピック終了後もインバウンド観光客用のプラットフォームとして活用することが予定されていた点を挙げた。

   では、大会終了後の活用状況はどうなっているのか。

   J-CASTトレンドはデジタル庁広報に取材した。委託先との契約は21年9月15日に終了しているという。システムのその後を聞くと、

「当該システムの知見等も活用し、現在は、外国人観光客等が入国時に必要な情報を事前に登録することで、スムーズな入国手続が可能となるサービス(Visit Japan Web)を提供しております」

との回答があった。

あまり報じられていない

   Visit Japan Webは、2021年12月20日から一般向けに運用されているウェブサービス。同月15日付朝日新聞デジタルによると、こちらの開発などにかかった事業費は5225万円。「オリパラアプリ」の仕様書や一部のプログラムを流用することで新たな費用を抑えたという。

   38億円以上を投じたオリパラアプリだが、「Visit Japan Web」の運用に生かされているという話は記者が調べた限りではあまり報じられていない。

   4億円近くがかかったCOCOAは今後どのように生かされていくだろうか。河野太郎デジタル相はCOCOAについて事業開始時から「ボタンの掛け違いがあった」としつつ、その功罪を今後総括し、「次のパンデミックにつなげていく」必要があると22年9月13日の会見で話している。

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