坂本龍一さん自伝『音楽は自由にする』 アマゾン「演奏家部門」1位に

   先ごろ亡くなった音楽家、坂本龍一さんの自伝的著書『音楽は自由にする』(2009年刊、新潮社)が注目されている。2023年4月5日段階で、アマゾンの「演奏家・指揮者・楽器の本」ランキングで1位になっている。どんな幼少期や青春を経て「世界のサカモト」になったか、坂本さん自身が話し言葉でわかりやすく語っているのが魅力だ。

『音楽は自由にする
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存分に語る

   幼稚園での初めての作曲。厳格な父の記憶。高校でのストライキ。YMOの狂騒。「ラストエンペラー」での苦闘と栄光。同時多発テロの衝撃。そして辿りついた、新しい音楽・・・などについて、様々なエピソードを軸に存分に語っている。坂本さんの初の自伝だ。

   音楽については、小学生の頃から作曲の指導も受けるなど、早熟の異才だったことが知られているが、学業も相当なもの。当時は東大に100人近い合格者を出すこともあった都立新宿高校に、わずか1か月ほどの受験勉強で入ったことなども明かされている。

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   同書は、主に自動車などを扱うライフスタイル雑誌「エンジン」の2007年1月号から2年余り連載されたものを単行本としてまとめている。聞き役は、「エンジン」の鈴木正文編集長。出版業界では凄腕で知られた人だけに、上手に坂本さんの思いを引き出している。

「龍」対談も

   新潮社の同書を紹介するウェブサイトでは、作家の村上龍さんと坂本さんのミニ対談も掲載されている。ともに「龍」の名を持つ二人は、1952年の早生まれ。誕生月も1か月も違わない。共著を出したこともあり、気の置けない間柄だ。高校時代に学園紛争に深くかかわったという点も共通している。

村上 とにかくね、普段聞けないようなことがこの本にはずいぶん書いてあって、面白かった。妙に。
坂本 相手が鈴木さん(連載で聞き手を務めた「エンジン」編集長の鈴木正文)だったから、思わずなんでもしゃべっちゃったんだけど。
村上 なんでこんなにいろいろ話してるんだろうって、ちょっとびっくりした。
坂本 乗せられたんです。

   「世界のサカモト」がどんな環境で作られ、何に関心を持ち、どういうことを考えていたのか。本書は、門外漢にも理解しやすい内容となっている。

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追悼