レンタルビデオ店もはや絶滅間近? GEOにTSUTAYA...大手の進む道は

   映画DVDや音楽CDを貸し出すレンタルビデオ店。「Netflix」や「Amazon Prime Video」など、インターネット上の有料動画配信サービスが人気を集めるなか、店舗数は減少傾向で、市場規模も縮小しつつある。

   レンタルビデオ店運営会社では、レンタル事業から撤退したり、別業態へ力を入れたりする事例が出ている。

DVDやBlu-ray借りられる「レンタルビデオ」店だが (写真はイメージ)
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レンタル「主要な収益源」に据えるが

   日本映像ソフト協会の「映像ソフト市場規模 及びユーザー動向調査 2022」によると、2017年には、レンタル市場の売り上げは1510億円だった一方、2022年では562億円にまで落ち込んだ。他方、有料動画市場は17年に1510億円、22年には5504億円と、好調ぶりが目立つ。

   同協会は、個人向けレンタルシステム加盟店数の推移を公開している。あくまで加盟するレンタルビデオ店の数であり、実際のレンタル店全体の実数ではない。とはいえその数は、1995年12月の1万2454店をピークに減少する一方だ。17年12月には3046店舗にまで減ったが、22年12月にはさらに2527店と縮小が続いている。

   レンタルビデオやビデオゲームを扱う大手チェーン「GEO」。運営会社のゲオホールディングスは23年5月12日、23年3月期の決算説明資料を公表した。それによると、同社のレンタル事業の売上高は前期比で85.9%に減少。資料内では音楽・映像レンタル市場が縮小傾向にあると背景について解説している。

   同決算説明では「レンタルを主要な収益源として大事にする方針に変更はありません」としているものの、店舗数も減少傾向だ。過去の決算資料を見ると、18年3月期で、GEOは1220店舗あった。しかし23年3月期では1069店舗で、6年間で100店舗以上減少している。

   一方で、23年3月期決算によれば、同社が運営し、洋服や家電を扱うリユースショップ「2ndSTREET」は売上が好調なようだ。レンタル事業の売上が落ち込んだなか、リユース全体の売上は前期比で118.5%に増加。

   また2ndSTREETの店舗数は、18年3月期時点で総584店舗だったが、23年3月期では国内803店、海外52店と、次々に出店。中期的には、1000店舗を目指すとしている、

TSUTAYAフランチャイズではレンタル撤退

   レンタルビデオ、CDや書籍を扱う「TSUTAYA」・「蔦屋書店」。「カルチュア・コンビニエンス・クラブ」(東京都渋谷区)が運営するブランドだ。これら店舗のフランチャイズを展開するトップカルチャー(新潟市)は、2021年7月15日発表の中期経営計画で、2023年10月期までにレンタル事業から撤退すると説明している。

   同年9月24日付朝日新聞デジタルによると、同社は記事時点で1都9県に「蔦屋書店」約70店舗を運営。同中期経営計画での説明によると、同社の売り上げは減少傾向にあり、背景のなかにレンタル事業の売上や収益力の急速な低下を挙げていた。

   代わりに、蔦屋書店・TSUTAYA店舗の「リモデル」を行なうと説明。事業内容として、「コワーキングスペース事業に進出」「特撰雑貨文具ジャンルの拡大/強化」を挙げている。21年7月15日同日には、コワーキングスペース「SHARE LOUNGE」を北信越で初めてオープンすると発表していた。

   トップカルチャー運営店以外でも、レンタルを扱う店舗数は減少しているようだ。TSUTAYA公式サイトで店舗検索し、特にキーワードは指定せず「DVD&ブルーレイ&ビデオ」取扱店と指定して検索すると、644件の店舗が出てきた。

   ウェブサイトの過去の情報を閲覧できるサービス「ウェイバックマシン」を使い、同サイトの2018年6月14日付を閲覧した。同様にレンタルDVD取扱店を調べると、1292件の店舗がヒットした。正確な情報とは断言できないが、見た限りでは半数近くに店舗数が減少している。

2023年5月19日15時10分追記 当初、ゲオホールディングスの過去の決算資料を17年3月期と表記していましたが、正しくは18年3月期でした。また、23年3月期時点のGEO店舗数を1067店舗としていましたが、正しくは1069店舗でした。訂正してお詫び申し上げます。

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