メタバースで市場調査 「360度の世界」でリアルに近い体験、回答内容も具体的に

   メタバースで、モニターに対する市場調査を実施できる仕組みを、リアルバーチャル (東京都渋谷区)が2024年4月16日に開始した。「体験調査」と呼ぶものだ。

   企業側は、モニターとして登録している顧客に、調査内容をバーチャルで体験してもらうことが可能。メタバース上なので、通常の定性調査よりも気軽に実施でき、また場所を問わず全国の人を対象に実施できる。

入口で迎えてくれた金谷建史さん
バスに乗り通学している様子
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「一歩踏み込んだ消費者の本音」を

   リアルバーチャル代表取締役の金谷建史さんによると、従来のオンライン調査の場合は、ウェブ会議システムを使って顔を見ながら話すことはできた。一方で調査内容によっては、モニター側が具体的なイメージをつかみきれなかったり、調査員がモニターに向けて一方的に話し続けたりしたりする場合があり、「一歩踏み込んだ消費者の本音」を聞き出せなかったと明かす。

   「体験調査」では、独自のバーチャル空間にモニターである消費者が入る。J-CASTトレンド記者も体験してみた。

   まず、メールで送られてきた、「体験調査」のURLにアクセス。するとまず、30種類の「二頭身アバター」を選ぶことができる。画面に映る自分の顔が、このアバターにくっついた形となるのだ。マウスをクリックしながらスライドするとあたりが見渡せ、キーボードの矢印ボタンで移動できる。


二頭身のアバターになった記者

   メタバース空間に入ると、記者のアバターは会議室のようなルームにいた。実際は20種類のルームがあり、調査を主催する企業側が選べるという。

   「体験調査」では、実在する場所の写真を使って説明できる。調査の主催側が操作し、写真の場所に移動させてくれるので、いきなり場面転換する。アバター姿の自分が写真の景色を360度見渡せ、動けるので、本当にその場に居るような体験ができる。


360度見渡しながら進んでいる様子

   金谷さんによると、具体的な体験をしてもらいながら調査を実施することで、表面的な回答ではなく、具体的な課題をヒアリングできる。そこから顧客の興味関心を高め、時には調査員が思いもしなかった回答などを収集できていると話した。

周りにどんな建物があるか分かりやすい

   記者も消費者側に回り、模擬体験を行った。新規オープンするテナントの立地場所を選ぶ想定で、候補地は2つ。一か所目はカフェが入居するビル。二か所目はコンビニのあるビルだ。いずれもビルが密集している場所に建つビルだったので、他に飲食店があるようには思えず、記者はコンビニが入るビルを選んだ。360度見渡せることで周りに何があるのか具体的にわかり、即決しやすかった。

   金谷さんによると、これまで行われていた市場調査は、ノベルティーや謝礼目的で回答する人、また市場調査では調査員が町を歩いている人に声をかけて頼むので、早く済ませたがる人が多かったそうだ。

   メタバースによる「体験調査」では、対象者は自らメタバースに来るモニターなので、自ら長居をする人が多い印象だという。複数人で調査を行う時も多々あり、その場合には気持ちを動きで表す「アクションボタン」を活用して回答を集計する方法をとることもあるという。

   20種類のルームの中には、学校をイメージした場所もある。金谷さんによると最近では、自治体の不登校支援の一環でこのルームをオンライン授業や、相談をする場として活用するというケースが増えた。「学校ルーム」に入るまでに、バスに乗り通学できる機能も追加。実際に通学している雰囲気が味わえるので、リアルの学校に登校できるようになるきっかけになればうれしいと話した。

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