チェーンソーで、ノコギリで、おので木材を切る腕を競う エクストリームスポーツ「STIHL TIMBERSPORTS」がド迫力(前編)

   屈強のアスリートが、木材を切るパフォーマンスを競うエクストリームスポーツ! イタリア・ミラノで2025年10月24日に開催された「STIHL TIMBERSPORTS」の「World Championship 2025」国別対抗戦を、J-CASTトレンドが取材した。

   4人がチームを組み、チェーンソー、ノコギリ、おのを使って木材を切るスピード、正確性を競う。木材伐採のスポーツは、欧米では伝統と人気を誇る。今大会は国と国のプライドがぶつかりあう試合とあって、会場の熱量はハンパなかった。

インタビューに答えてくれたオーストラリアチームのブラッド・デ・ローザ選手
カナダチームのStock Sawの選手
ドイツチームのStanding Block Chopの選手
ハンガリーチームのUnderhand Chopの選手
試合でSingle Buckの種目を担当、ノコギリを引くブラッド・デ・ローザ選手(写真右)
イギリスチームとフランスチームの対戦
オランダチーム・Standing Block Chopの選手と、見守るチームメート
ブラッド・デ・ローザ選手が、競技の様子を見せてくれた
Read more...

150年ほどの歴史、最初の公開競技はタスマニアで

   森林での作業従事者が、おのやノコギリを使った木の伐採の腕前を競い合う――。「ロガースポーツ」「ランバージャックスポーツ」と呼ばれ、150年ほどの歴史を誇る。オーストラリアとニュージーランドで始まり、アメリカやカナダに広がっていった。これがスポーツ競技として複数の種目がつくられ、1891年にオーストラリア・タスマニアで初めて公開競技として行われた。

   そして1985年、「STIHL TIMBERSPORTS」がスタート。チェーンソーなどの工具メーカー・STIHL(本社ドイツ・ヴァイブリンゲン)アメリカ支社が、アメリカのスポーツチャンネルESPNと提携し、ロガースポーツの競技シリーズを立ち上げたのだ。今日では主要6種目が設定され、個人戦や団体戦、国ごとの国内大会や国際大会が開かれている。新人戦や女性アスリートの大会もある。

   今年ミラノで行われた「World Championship 2025」は国別対抗戦と個人戦に分かれ、取材に訪れたのは国別対抗の団体戦だ。大会には18か国、100人以上の男女アスリートが参加した。2024年まで団体戦5連覇中のオーストラリアをはじめ、ニュージーランド、アメリカ、ポーランド、フランス、地元イタリアなど欧米やオセアニアから強豪がそろった。

国別対抗戦は4種目、個人戦は6種目

   国別対抗戦での種目は、以下の4種類だ。

Stock Saw(ストック・ソー):チェーンソーで木材を正確に切断する。
Underhand Chop(アンダーハンド・チョップ):足元に寝かせた木材ブロックをおので割る。
Single Buck(シングル・バック):1本の歯の長い大型ノコギリで、木を切断する。
Standing Block Chop(スタンディング・ブロック・チョップ):立ててある木材ブロックを、おので両側から切る。

   これをリレー形式でつなぎ、合計タイムと、ルール通りに伐採できているか審判が判定の上、上位14チームと、下位4チームが敗者復活戦を競って勝った2チームが加わり、計16チームが決勝トーナメントを戦う。

   なお個人戦では、4種目に加えて、

Springboard(スプリングボード):立木のような高い木におのを使って、自分が乗るための板をはめるための「差し込み口」を作る。その板に乗り、木の上部にもう1枚、板をはめる口をおので作る。上段の板に乗ったら、最上部にある木材ブロックをおのでたたき割る。
Hot Saw(ホット・ソー):カスタマイズしたパワフルなチェーンソーで、木材をスピーディーに切断する。

を合わせた計6種目となる。

   予選では、王者オーストラリアが最速タイムで1位通過。アメリカ、スウェーデンが続いた。敗者復活戦では、オランダとハンガリーが勝ち残った。

団体戦チャンピオンが語る競技の魅力

   決勝トーナメント前、オーストラリア代表のメンバーで、Single Buck(シングル・バック)を担当したブラッド・デ・ローザ選手に話を聞いた。2013年、22年には個人戦で世界王者に輝いた、実績十分のベテランだ。

「競技を始めたのは16歳からです。おのを使った作業自体が好きでしたが、競争して勝ちたいとの気持ちがありました」

   オーストラリア国内では多くの大会があり、経験と実績を積み重ねてきたと話す。

「木を切る練習を多くこなして、パワーをつけるのはもちろん重要です。加えてタイミングやバランス、テクニックも大切。それらを総合的に鍛えています」

   デ・ローザ選手自身、全ての種目をこなすが、チーム戦では各種目で最も強い選手が選抜される。今回は、ノコギリを使った「Single Buck」担当に選ばれた。「(木材を)フラットに切るためのノコギリのコントロールが重要。そのためには腕や腹筋などを鍛えなければなりません」。

   「STIHL TIMBERSPORTS」の魅力を、語ってもらった。

「ライブで見ると大変エキサイティングなスポーツです。鋭利なノコギリ、爆音を鳴らすチェーンソー、木材を切る際に飛ぶ木くず。そして、選手たちを間近で見られる。もっと多くの人たちが『STIHL TIMBERSPORTS』を好きになってもらうために、ライブで楽しんでもらう機会をつくることが大事だと思います」

   興奮の決勝トーナメントの様子は、次回リポートしたい。(後編に続く)

注目情報

PR
追悼